◎地域便り


全国トラクター競技大会で初の女性優勝

鹿児島県 内村正幸



 8月31日に栃木県今市市で開催された第20回農業機械士全国トラクター競技大会
のプラウ耕部門において、 鹿児島県鹿屋 (かのや) 市で酪農経営を営む上松百合子
さん (45才) が女性としてはじめて優勝した。 


 【女性初の優勝者上松百合子さんの競技風景】



 大会は5年に1度開催されるもので、 ロータリー耕部門とプラウ耕部門があり、 
上松さんが出場したプラウ耕部門には全国各地から選抜された17名が出場した。 競
技は制限時間内にほ場をすき起こし、 直進性や溝の深さの正確性を競うもの。 上松
さんは300点満点のうち280点の高得点で優勝した。 

 上松さんは昭和47年、 結婚と同時に就農。 昭和60年に夫の俊行さん (現在48才) 
の手助けになればと、 トラクター免許と2級農業機械士の資格を取得した。 その後、 
俊行さんの指導で腕を磨き、 平成2年の県大会に初出場し2位となる好成績を収め、 
平成5年の県大会では優勝するまで実力を伸ばした。 

 県代表として全国大会に出場することとなり、 6月から仕事の合間を縫って猛練
習を開始した。 しかし、 6〜8月は酪農家にとって最も忙しい時期で、 7月には体
調を崩すこともあった。 

 大会前は、 県代表としての責任感からプレッシャーを感じ、 緊張してよく眠れな
かったらしい。 また当日は、 あいにくの雨模様と最悪のコンディションも重なり、 
「納得のいく操作ができなかった。 やるだけのことはやったのでどんな結果になっ
ても悔いはない」 と優勝はあきらめていたようだ。 自分が優勝と聞いて、 「信じら
れない。 指導や応援してくださった方々に感謝します。 辛かった練習も良い思い出
になりそうです」 と思わず涙ぐんでいた。 

 県大会の優勝者の全国大会への出場は1回限りというルールがあり、 その分優勝
の喜びもひとしお。 「大会に参加できなくなるのはさみしい。 今後はこれまでの経
験を酪農経営に生かしたい」 と抱負を語っていた。 


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