◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

珍種 「インギー鶏」 の種の保存

(鹿児島県 寺内安弘)

 


  明治27年4月にイギリスの貨物船 「ドラムエンタン号」が、 鹿児島の種子島
南種子町の前之浜海岸に座礁してから今年で100年が経ち、 このほど英国の代
表者などを招いて記念式典と祝賀会が行われた。 
 
 この座礁した貨物船の乗組員が、 救けてくれた地元への感謝のしるしとして
船内で飼育していた11羽を譲り渡したのがインギー鶏で、 この当時イギリス人
のことを 「インギー」 と呼んでいたことから名付けられたものである。 以来、 
一部の地域の人々により、 自家用や愛玩用として守り育てられ、 平成4年に町
の文化財に指定され、 現在約200羽が飼育されている。 インギー鶏は、 普通の
鶏に比べ小柄であり、 尾が短く縮れているところに特徴がある。 また、 肉質は
やわらかく味もよいと焼き鳥業者等から評価を受けている。 
 
 町では、 文化財としての種の保存に努める一方で、 食用としての活用も検討
し、 食用化と文化財保護の両輪作戦でインギー鶏を振興することとしている。 
このため、 生産組織の育成や簡易鶏舎、 孵卵器の整備等具体的な生産対策を平
成7年度から取り、 インギー鶏の特性を活かした差別化商品として主に焼き鳥
等の営業用鶏肉としての販路を開拓することとしている。 

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