◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

全国の鶉の6割を生産する愛知県東部地域

(愛知県 縣 博文)

 


  ウズラは、 古来その卵が漢方薬として珍重され、 日本において家畜化された
唯一の動物種で、 体重は110〜140kgで雄の方がやや小さく、 卵殻に黒褐色の斑
紋のある10kgほどの卵を年間250個以上産む。 
 
  鶏に比較し、 @小面積で多羽数飼養が可能、 A体重に比較し大卵を産む、 B
初産開始日齢が早い (約40日齢) など有利な点が多く、 昭和40年代に入って飼
養羽数が著しく増加し、 現在では全国で約700万羽が飼養され、 年間約2万t
の卵が生産されている。 うち70%が水煮等の加工卵として缶詰や袋詰めにされ、 
30%が生卵で流通している。 
 
  愛知県東部地域では、 豊橋市を中心に隣接の豊川市及び田原町で53戸の農家
が全国の 60%に相当する約420万羽の鶉を飼養している。 また、 全国への種卵
やヒナ及び関連資材の供給元としても養鶉産業の基盤を形成している。 そのふ
化場の経営形態等は次のとおりである。 
 
  ふ化場の経営形態は、 豊橋養鶉農業協同組合の直営が1、 飼料会社の直営が
1、 鶉卵・鶉肉販売等を主体とした経営が5 (有限会社2、 個人3) で、 計7
ふ化場である。 業務形態は、 (1)農家が自家生産した種卵の委託ふ化を行うも
の、 (2)種鶉場で生産された種卵をもとにヒナを生産し販売するもの、 の2形
態がある。 
 
  これらのふ化場が、 年間約3, 000万個の種卵をもとに、 約1, 000万羽の雌ヒ
ナを生産し、 供給している。 ヒナの販売価格は、 35円/羽前後となっている。 
ふ化日数は18日で、 雌雄識別は、 鶏と同じく肛門鑑別法により行われている。 
ふ化率については、 季節、 種卵の良否等により、 またふ化場により変動がある
が、 概ね66%で鶏に比べ極めて悪い。 
 
  また、 一部のふ化場では、 ウズラの品種改良も行われており、 今後の育種上
の改善が期待される。 

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