◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

特産品を目指す鳥取地どり 「ピヨ」

(鳥取県 松田義人)

 


  巷に夕闇が迫る頃、 コートの襟を立て家路をたどる人々の脳裏に浮かぶもの、 
それは、 家族の温もりと夕食の団らんであろう。 冬場の夕食の中心といえば、 
すき焼、 しゃぶしゃぶ、 寄せ鍋、 それと水たきに代表される鍋物である。 その
水たきに使われる鶏肉であるが、 近年、 健康志向、 本もの志向から地どりブー
ムが起き、 全国各地、 新旧入り乱れての地どりの生産振興が図られてきた。 し
かし、 ブームとは 「一時の流行」 と定義されるようになり、 最近ではややその
勢いも下火となり、 伝統的なものあるいは生産・流通体制のしっかりしたもの
のみが生き残っているようである。 
 
  鳥取県でも、 県中小家畜試験場で、 昭和62年から5年の歳月をかけて鳥取地
どり 「ピヨ」 が作出され、 平成4年から一般への供給が開始された。 特徴は、 
歯ごたえが良く、 うまみが豊富でなおかつ低脂肪の点にある。 また飼養面でも
発育良好で抗病性に優れている。 
 
  現在のところ年間供給羽数は、 2, 000羽でまだまだこれからというところで
ある。 今後は、 年間出荷1万羽を目標に、 販路の開拓、 商品開発、 生産の拡大
等を図り、 「鳥取県の味」 として自慢できるものにしていきたい。 
 
  先頃、 関西方面で新聞を活用して宅配事業を試験的に実施したところ、 予想
以上に好評で注文が殺到した。 地どり人気も、 根強いものがあると痛感した。 
 
  本県では、 現在、 恵まれた自然を生かした 「全県公園化構想」 の実現に取り
組んでおり、 県下のあちらこちらにその地域の特色を生かし、 自然との調和を
保った施設の整備が進められている。 これらの施設を訪れる方々に、 鳥取の自
然を満喫していただくとともに、 この鳥取地どり 「ピヨ」 を一度味わってもら
いたい。 

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