◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

種子島牛の改良にET技術の活用

(鹿児島県 大田 均)

 


  「鉄砲伝統の島」 また 「宇宙にもっとも近い島」 として知られる鹿児島県種
子島では、 平成5年10月に種子島ET研究会が設立され、 ET技術を活用した
新たな 「種子島牛」 の改良にチャレンジしている。 
 
  この研究会は、 島内の畜産関係機関、 団体の担当者全員で構成され、 獣医師
や移植師に片寄ることなく、 市町村 (1市2町) や農協の担当者とも連携を取
りながら運営されている。 供卵牛と受卵牛の選定を市町村及び農協が担当し、 
農業共済組合と家畜保健所の獣医師が採卵した受精卵を、 6名の移植師が移植
している。 また、 ETにより生産された子牛の飼養管理については、 農業改良
普及所を中心に定期的な巡回指導を行うなどそれぞれの役割を分担し、 ET技
術の普及に努めている。 
 
  これまでに18頭から採卵し、 153個 (1頭当たり8.5個) の移植可能卵が得
られ、 凍結可能卵率は86.9%であった。 また、 74頭に移植され、 53.1%の受
胎率が得られ、 特に、 ダイレクト法による凍結卵移植の受胎率は57.1%で初
年度としては良好な成績であり、 昨年の8月以降 16頭の産子が既に誕生して
いる。 
 
  供卵牛はすべて産肉成績のよい雌牛から選定されており、 生産される雌牛
は島内に保留され、 産肉能力の高い雌牛群への早期更新が期待されている。 
 


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