◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

「薩摩鶏交雑ブロイラー」 で 高品質鶏肉生産

(鹿児島県 松岡 尚二)

 


  創立50周年を迎えた鹿児島県養鶏試験場は、 おいしい鶏肉生産を目指した「
薩摩鶏交雑ブロイラー」 に関する研究を20数年間進めてきた。 
 
  薩摩鶏は江戸時代の初期に 「小国」 と 「軍鶏」をもとに作出された鶏で、 気
性が激しく闘鶏として愛玩されていたが、 昭和44年から同試験場において肉質
改善への利用・研究が行われてきた。 
 
  試験場で系統造成された薩摩鶏を父系とする交雑ブロイラーは、 白色プリマ
スロック種の雌鶏に薩摩鶏の雄鶏を交配した 「さつま若しゃも」 と、 白色プリ
マスロック種にロードアイランドレッド種を交配した雌鶏に薩摩鶏の雄鶏を交
配した 「薩摩味鶏」 の2つの銘柄で九州をはじめ、 関東、 関西方面に販売され
ている。 年間販売量は 「さつま若しゃも」 が約30万羽、 「薩摩味鶏」 が約5万
羽である。 
 
  特に、 「さつま若しゃも」 は65日齢から90日齢までの25日間を竹林で放し飼
いされることもあり、 その肉はブロイラー肉に比べ肉味が深く、 きめが細やか
で適度な歯ごたえもある。 鍋料理に使えば肉からのだしが他の野菜や豆腐など
のおいしさを一層高め、 その味の良さは請け合いである。 
 
  また、 試験場では、 消費者が求めている 「地鶏らしさ」に近づけるため、 茶
色系の羽装をした鶏種の作出に取り組んでいる。 現在、 5年目を迎え、 当初の
目標である羽装:茶色系、 体重:100日齢で2.3kg、 産卵性:年間200個に近づ
きつつあり、 ニュータイプの薩摩鶏交雑ブロイラーの誕生に期待が寄せられて
いる。 

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