◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

ゆとりのある酪農ファミリー

〜 作業軽減と規模拡大 〜 

(愛媛県 高橋 敏方)

 


  愛媛県西条市のN牧場は、 乳牛100頭 (経産牛92頭、 育成牛8頭)、 草地面
積3ヘクタール、 昨年の出荷乳量は約700トンの規模で、 夫婦2人で経営して
いる。 
 
 Nさん (40代前半) は、 以前から増頭の度に牛舎の増築、 改造を繰り返し
てきたが、 この接ぎ足し牛舎は色々な問題を引き起こした。 酪農の主要作業で
ある給飼と搾乳の効率が極めて悪く、 1回の作業に4時間以上もかかり、 1日
中牛舎に入りっぱなしという状態であった。 おまけに牛舎と自宅が離れている
ため、 奥さんは家事も思うようにできず苦労のわりに成績も伸びなかった。 

 そこで、 牛舎の大改築を検討したが、 これから長く酪農を続けていくために
は、 さらなる規模拡大が必要である。 そのため、 作業の効率アップと安全性、 
更に乳房炎の損減と繁殖成績の向上を考え、 まず平成2年にミルキングパーラ
ー (ヘリボーン式・5頭2列・ユニット数10) を導入した。 そして、 一昨年、 
96ベットのフリーストール牛舎を建設した。 費用は、 ほとんどが自己資金であ
る。 

 その結果、 40頭から100頭に規模拡大でき、 設備の改善・充実で事故もなく、 
作業時間が以前より大幅に短縮された。 時間に余裕ができた奥さんは、 家事の
時間が十分とれ、 家族が楽しく過ごせるようになったと言う。 また、 長男も酪
農に意欲的になり、 現在、 北海道の高校を目指し勉学に励んでいる。 

 Nさんは、 今後は、 牛の個体能力 (乳量、 乳質) の向上と環境面 (堆肥舎) 
の改善などに取り組みたいと意欲を燃やしている。 

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