◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

豚人工授精の導入農家が増加

(愛知県 石黒 武彦)

  豚の人工授精は、 平成3年頃から、 大規模な養豚農家で導入されて以来、 一
般の養豚農家でも関心が高まり、 現在、 愛知県では東三河の渥美地域を中心に
23戸以上が採用している。 この内、 導入後4年以上経過した農家が5戸、 3年
経過が3戸で、 他は、 一年余りの導入実績となっている。
 
 精液を自家採取している養豚農家は、 この内の半数近くを占め、 飼育規模は
200頭以上と大きい。 母豚400頭飼養規模の事例では、 種雄1頭を年間 35〜40
頭の母豚に活用すると、 従来の自然交配では雄1頭当たり母豚10〜13頭となる
のに比べて、 種雄の飼養頭数を1/3に削減することができる。 

 また、 人工授精の有利な点として、 計画的に作業ができ、 同時種付けも可能
で里子の調整がしやすい、 母豚と種雄の大きさに関係なく利用できる、 夏季の
影響も少ないことなどがあげられている。 反面、 希釈保存液の調整、 保存温度
の堅守、 機器の保守点検などの留意点が指摘されている。 
 
  一方、 購入精液を利用している農家では、 グループで特定の種雄豚の精液を
活用することで豚肉の銘柄化を目指しているものもある。 

 昨年夏以降、 農業改良普及センター・農業技術センターの研修や畜産総合セ
ンターで実技を習得する農家の数も増加している。 最近では、 西三河の西尾・
幡豆地域でも、 この技術が定着し始めている。 

 多くの養豚農家では、 人工授精の導入で経営コストの低減、 均質な肉豚の生
産及び曜日別の作業管理を導入しやすいことに期待し、 取り組んでいる。
 

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