◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

段ボール裁断片を牛舎の敷料に利用

(鳥取県 桑島 一郎)

  鳥取県気高郡青谷町の伊藤武彦さん (57才)は、 酪農20頭規模の経営を続
けていたが、 牛肉の輸入自由化とともに和牛繁殖及び肥育を取り入れた複合
経営による規模拡大を実施し、 経営の安定を図っている。 
 
  この規模拡大に伴って、 問題となったのはワラ (敷料) の確保であった。 
以前からの酪農経営で、 自給飼料基盤は確立されてはいたものの、 酪農単一
経営では敷料として使用していたワラが、 和牛部門では貴重な飼料として利
用されるようになったため、 ワラに替わる敷料の確保が頭の痛い問題となっ
た。
 
 そこで、 農林水産省畜産試験場等が試験した段ボール裁断片を利用したふ
ん尿の処理や、 鳥取県が先進的に取り組んでいる環境に優しい再生紙利用の
田植えを参考に、 今までの敷料のワラへの増量資材として、 段ボール裁断片
を試用した。 

 具体的な使用方法は、 酪農部門では、 ワラと段ボール裁断片を半々に混合
したものを、 バーンクリーナー内に散布 (ワラの使用量は従来に比べ半減す
る) し、 和牛部門では、 ノコクズと段ボール裁断片を半々に混合したものを、 
育成牛舎の敷料として使用した。
 
 その結果、 酪農部門での使用については、 尿を吸水した後バーンクリーナ
ーに密着して離れにくくなることから、 バーンクリーナーの保守管理に余分
な労力がかかり、 段ボール裁断片の添加量、 添加時期等取り扱いに一層の工
夫が必要であるとの結論を得た。 一方、 和牛の育成時期に敷料として使用し
た場合は、 子牛の敷料の変化に対する違和感は感じられず、 ノコクズに添加
増量する方法は良好であった。
 
  「今後イナワラが不足した場合に備えて、 段ボール屑を利用できるよう、 
特に酪農では真剣に検討してみる必要がある」 と伊藤さんは話していた。 

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