◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

乳質コンクール連続最優秀賞の秘訣

(鹿児島県 清野 滋美)

  安全でうまい生乳の生産と酪農経営の技術向上を目指して毎年開催される「
鹿児島県乳質向上コンクール」 (昭和61年度から開催)において、 鹿児島県姶
良郡牧園町の厚地三宝 (あつちただたか) (25歳)さんが2年連続で最優秀賞
を受賞した (平均脂肪率4.09%、 平均無脂固形分率8.70%、 平均細菌数3万
/cc、 平均体細胞数4万/cc、 平均補正乳量 (FCM) 7,734kg)。 そこで、 厚
地牧場における乳質向上の秘訣について尋ねてみた。 
 
  厚地牧場は、 祖母と両親、 本人の4人家族の経営で、 温泉と観光地として
有名な霧島山ろくに位置し、 夏場も冷涼で酪農経営に適した立地条件にある。 
経営規模は、 搾乳牛35頭、 育成牛20頭、 飼料畑310a、 永年牧草地460aであ
る。 

 厚地牧場を訪ねるとまず大変きれいな牛床に驚かされる。 牛舎は一般的な
つなぎ方式であるが、 滑り止め用のゴムマットが敷いてあり、 毎日牛を放飼
場に出したあと水洗している。 また、 放飼場で汚れて帰ってきた牛について
は、 牛体を水洗し、 乾かしてから搾乳を始めるとのことである。
 
 乳房炎の対策についても徹底しており、 @前搾り乳はストリップカップ (
乳房炎の診断法の1つで、 乳汁中の微細な凝固物をふるいを使い見つけ出す
方法) で必ずチェックする。  A乳房炎の疑いのある牛については市販薬で
即テストする。  Bテストで陽性であった場合はすぐに獣医師に治療しても
らう。 この @〜Bを迅速にかつ確実に行うよう心がけている。 また、 乳成
分の向上のため、 良質な自給粗飼料の生産と、 乳成分の向上が期待される種
雄牛の選択も怠らない。
 
 将来の展望はとの問いに 「将来はフリーストール牛舎の整備を考えている。 
このため、 牛舎と低コストふん尿処理施設について、 よその牛舎などを視察
に行って勉強している。 今後は現在の乳質を保ちながら、 乳量タイプの牛群
を目指している」 との答え。 これからの酪農を担う若者の頼もしい話に、 未
知なる可能性を感じた。 


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