◎地域便り

 この「地域便り」では、北海道、岩手県、群馬県、宮崎県及び鹿児島県の協力を得て、地域における畜産の新しい動き、先進的な畜産経営の事例等を紹介してます。
 

牛を見分けた!若い審査眼   

女子高校生が審査競技会に初参加 

(鹿児島県 宇都 順久)

  「日本一の和牛の里」 鹿児島県曽於 (そお) 郡末吉町で、 去る9月1日に
128頭の和牛を一堂に集め畜産共進会が開催された。 共進会では、 3人1組
の婦人による牛の審査競技会が開かれ、 一般の婦人にまじって末吉高校生物
生産学科の女子高校生2組 (2年生1組、 3年生1組) が特別参加した。 
 
  競技会は牛の世話を任される婦人が、 牛を見分ける目を養って飼養管理に
生かすことを目的に、 共進会出品牛から選ばれた3頭の総合順位と各牛の長
所を当てるほか、 体積・均称、 資質・品位、 乳徴についても順位をつける。
  
  制限時間20分で審査し、 専門家が審査した正解に基づき採点される。 
 出場した女子高校生らは、 真剣な眼差しで外観、 牛の毛づやや皮膚の状況
を確かめ慎重に審査に取組み、 その様はベテラン婦人に決して引けをとらな
かった。 
 
  採点の結果、 2年生チームが先輩の3年生を飛び越えて堂々の3位と大健
闘、 そのはしゃぎぶりは、 あどけなさがにじみ出て見学者の大喝さいを受け
た。 
 
  2年生チームは、 町の競技会で3位の好成績を挙げたことが認められ、 そ
の後、 9月20日に開催された曽於郡畜産共進会婦人部審査競技会にも特別参
加した。 3人のうち1人だけが家で牛を飼っているだけで、 あとの2人は高
校に入るまで牛との縁はなく、 3人とも牛の見方は高校で基本を教わった程
度である。
 
 競技を終えた3人は、 「町の共進会の時より牛に差がなく判定が難しかっ
た。 3頭とも同じに見え、 迷ううちに時間が来た」 と回答に自信がなさそう
であったが、 成績発表で9組中4位のアナウンスが流れると 「やったー!」 
と歓声を上げて喜んでいた。 

 後継者不足に悩む農村地域におけるとても明るい出来事であった。 
 
    

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