最近の畜産物の需給動向

  
 国内の主要畜産物の短期需給動向を毎月トレースします。 
・原データは、 巻末の参考資料を御参照願います。 
・( ) 内数値は、 対前年増減率です。
・季節調整は、 米国商務省のセンサス局法 (X−11) によっています。  
・牛肉及び豚肉の数量は、部分肉ベースです。

                                 乳業部、食肉生産流通部、企画情報部

9月の需要概要
  生産量
(トン)
輸入量
(トン)
推定出回り量
(トン)
推定期末在庫量
(トン)
国産卸売価格
(円/kg)
牛肉 34,329
(0.2%)
56,072
(23.6%)
89,729
(7.6%)
94,973
(12.3%)
1,010
(▲4.9%、枝肉、東京・省令)
豚肉 72,276
(▲5.2%)
46,340
(8.5%)
122,390
(▲1.7%)
97,932
(14.7%)
466
(▲8.8%、枝肉、東京・省令)
鶏肉 94,740
(▲3.6%)
45,722
(3.9%)
140,598
(0.9%)
123,549
(44.8%)
502
(▲3.3%、もも、東京・平均)
  生乳生産量
(トン)
飲用牛乳等
向け処理量
(トン)
バター 脱脂粉乳
生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/kg) 生産量
(トン)
大口需要者向け価格(円/25kg)

牛乳・乳製品

683,082
(▲0.6%)
457,264
(▲2.7%)
4,774
(18.4%)
951
(▲0.1%)
12,658
(15.6%)
13,567
(1.6%)
  4〜6月期生産量
(トン)
9月輸入量
(トン)
4〜6月期推定出回り量
(トン)
7月国産卸売価格
(円/kg)

鶏卵

649,203
(▲2.4%)
9,107
(▲9.8%)
678,952
(▲1.3%)
224
(11.4%、東京・全規格平均)
(注)( )内は対前年増減率

 

〔  牛  肉  〕
9月の生産量 前年同月並み  

 9月の生産量は、 3万4千329トン (0.2%) と前年同月並みであった (図1)。 
 
 和牛は、 めす牛、 去勢牛ともにそれぞれ前年同月を上回り、 合計では1万3千
530トン (2.7%) と前年同月をわずかに上回った。 
 
 乳牛は、 めす牛がと畜頭数の減少から前年同月をかなり下回ったものの、 乳用
肥育おす牛が前年同月をやや上回ったため、 合計では2万157トン (▲0.7%) と
わずかな減少にとどまった。 

 乳用めす牛のと畜頭数は、 飼養頭数が減少している中で、 今年度の生乳の計画
生産目標が対前年度比102.8%に設定され、 搾乳牛の供用期間が伸びているとみら
れることなどから、 前年同期に比べてかなり減少している (4〜9月累計▲8.6
%)。 

 

9月の輸入量  冷蔵牛肉のセーフガード発動はなし 

 9月の輸入量は、 5万6千72トン (23. 6%) と引き続き前年同月を大幅に上
回った (図2)。 
 
 米国産は、 冷蔵品、 冷凍品ともに大きく伸び、 合計で2万7千367トン (42.6
%)と前年同月を大幅に上回った。 一方、 豪州産は、 2万6千109トン(7.4%)と
落ちついた伸びで、 8月に引き続き、 米・豪のシェアは逆転している。
 
 冷蔵品の輸入量 (セーフガード:SG算定ベース)は3万1千42トン、 4月から
の累計輸入量は19万1千533トンで、 SGの発動はなかった。 ただし、 第2四半期
のトリガーレベルとの差は4千239トンとわずかで、 今後の輸入動向次第では、 
8月から関税率が50%に引き上げられた冷凍牛肉同様、 SGの発動も想定される。
 
 事業団の品目別輸入動向調査によると、 10月の輸入数量は5万4千トン (冷蔵
品3万トン、 冷凍品2万4千トン)、 11月は5万6千トン(冷蔵品3万2千トン、 
冷凍品2万4千トン)、 12月は冷蔵品は11月並み、 冷凍品は11月よりやや減少す
るものと見込まれる。 



9月の推定期末在庫量  高水準が続く 

 9月の推定出回り量は、 国産品がやや前年同月を下回ったものの、 輸入品が輸
入量の増加を受け大幅に上回ったため、 合計では8万9千729トン (7.6%) とか
なり上回った (図3)。
 
 9月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに大きく増え、 合計で9万4千
973トン (12.3%) と7月以降3カ月連続で9万トンを超える高い水準であった。 
  


9月の国産枝肉卸売価格  総じて前年同月を下回る

 
 9月の省令価格 (東京市場) は、 1,010円/kg (▲4.9%) と前年同月をやや下
回った (図4)。 
 
 去勢和牛のA5、 A3はそれぞれ、 2,408円/kg (▲6.7%)、 1, 458円/kg (▲
4.1%) と前年同月を下回った (図5)。 
  
  乳用種去勢牛のB2は競合する輸入牛肉の出回り量が大幅に増加し、 かつ、 価
格が大きく低下していることから、 665円/kg (▲7.6%) と前年同月をかなり下
回った。 一方、交雑種去勢牛 (F1) のB3は1,261円/kg (▲0.2%) と前年同月
並みであった。
 
 10月の省令価格 (速報値・瑕疵ある枝肉を除く。) は、 1, 043円/kgであった。 



9月の輸入牛肉仲間相場 引き続き好調な北米産チャックリブ

 9月のオセアニア産牛肉の仲間相場は、 供給過剰から値を下げていた冷蔵品 「グ
ラスフェッド・フルセット」 が506円/kgと500円台を回復したものの、 引き続き
前年同月を大幅に下回った (▲20.8%)。 6月に721円/kgであった冷蔵品「ショー
トグレインフェッド・フルセット」 は592円 (▲16. 5%) と600円を割りかなり値
を下げている。 

 北米産牛肉は、 「チャックリブ」 が、 好調な焼き肉需要を反映して、 冷凍品、 冷
蔵品ともそれぞれ1, 166円/kg (57.5%)、 1, 255 (105.2%) と、 輸入牛肉の
ほとんどの品目が前年同月に比べて大きく値を下げる中で、 値を上げた。
 
 10月に入ってからは、 オセアニア産、 北米産ともに、 チャックロールなどのスラ
イス用かたロースの値動きが堅調である。 

〔  肉 用 子 牛  〕
9月の黒毛和種の価格  前年同月をかなり上回る 

 9月の黒毛和種の取引は、 頭数が3万2千495頭 (▲0.7%) と前年同月をわずか
に下回り、 価格 (おす・めす平均) は36万7千円 (10.2%) と前年同月をかなり上
回った (図7)。 
  
 9月の主要市場の取引価格は、 岩手県中央家畜市場39万5千円(24.2%)、 宮崎県
都城地域家畜市場 39万円 (5.1%)、 鹿児島県曽於郡中央家畜市場34万9千円(2.3
%) といずれも前年同月を上回った。
9月の乳用種の価格  前年同月を大幅に上回る
 9月のホルスタイン種の取引価格 (おす・めす平均) は6万9千円 (40.8%)と前
年同月を大幅に上回った。 また、 乳用種ヌレ子の取引価格は、 2万8千円(▲34.8%) 
と前年同月を大幅に下回った。
 
 今月のトピックス
堅調な値動きの去勢和牛A3、 A2
 長引く景気の低迷等からA5クラスの枝肉価格は相変わらず、 前年同月を下回って
推移している。 一方、 A3、 A2クラスはこのところ量販店の和牛見直しの機運を受
け堅調で、 価格の下落率はA5に比べて小さいことがわかる。 


〔  豚 肉  〕
9月の生産量  前年同月をやや下回る 

  9月の国内生産は、 長期的な母豚の飼養頭数の減少等により、 と畜頭数は140万2
千頭 (▲6.7%) と前年同月をかなり下回った (図1)。 生産量は、 と畜頭数の減少
を受けて、 7万2千276トン (▲5.2%) と前年をやや下回った (図2)。平均枝肉重
量 (全国平均) は、 梅雨明け以降に猛暑の影響を受けたこと等から、 73.6kg (1.6
%) と、 先月並みの低水準となり、 熱暑により生産性が極端に低下した前年を、 わ
ずかながら上回った。
 
 10月のと畜頭数 (速報値) は、 151万7千頭 (▲3.6%) と前年同月をやや下回り、 
6年6月から17カ月連続して前年を下回ると見込まれている。 




9月の輸入量  セーフガードが11月から発動
 9月の輸入量は、4万6千340トン (8.5%) と前年同月をかなり上回った (図3)。 
これまで、 生産量の減少等を背景に、 5月以降前年同月比で2桁台の大きな伸びを示
してきた輸入量であるが、 9月はセーフガード (SG) の発動にかかわる第2四半期の
末月であることもあり、 1桁台の伸びにとどまった。 
 
 輸入相手国別にみると、 特に、 台湾は対日輸出の自主規制を行ったこともあって、 
前年同月をかなり下回り (▲6.4%)、 デンマークも大幅に下回った(▲20.6%)。 一
方、 アメリカからの輸入量は、 前年同月を大幅に上回り(75.2%)、 冷蔵品の輸入で
は、 冷蔵品の輸入では、 台湾を2カ月連続で上回った(図4)。 

 加工品等を含むSG対象品目の9月の輸入量は4万6千492トンとなった。 これで、 
7年4月からの累計輸入数量が、 30万1千151トンと、 緊急措置の発動基準数量 (ト
リガーレベル) を上回り、 11月1日から基準輸入価格を引き上げるSGが発動された。 
 

 
9月の推定出回り量 前年同月をわずかに下回る

 9月の推定出回り量は、 12万2千390トン (▲1.7%) と前年同月をわずかに下回
った(図5)。 国産品は7万4千103トン (▲6.1%) と生産量の減少を受けて、 前年
同月をかなり下回った。 一方、 輸入品は生産量の減少を補うように、 依然、 高い出
回り水準が続いており、 4万8千287トン (6.0%)と、 前年同月をかなり上回った。
 
  
9月の期末在庫量  高水準の輸入品在庫

 9月の推定期末在庫量は、 9万7千932トン (14.7%) と前年同月をかなり上回っ
た (図6)。 国産品は、 出回り量が、 減少傾向にある生産量を上回ったことから、 在
庫の取り崩しとなり、 1万1千981トン (▲26.2%) と前年同月を大幅に下回った。 
一方、 輸入品は、 輸入量の増勢から、 引き続き在庫は高い水準となり、 8万5千951
トン (24. 2%) と前年同月を大幅に上回った。 



9月の国産枝肉価格  前年同月をかなり下回る

  9月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 国内生産量がかなり減少したものの、 輸
入品の在庫量が高水準にあったこともあり、 466円/kg (▲8.8%) と前年同月をか
なり下回った(図7)。

 10月の卸売価格は、 出荷頭数が前年同月をかなり下回ったと見込まれるものの、 
SGの発動にかかわる第2四半期末の9月を過ぎて輸入量が急増したこと、 これに伴
い市中の荷動きが悪かったと見られることから、 396円 (速報値、 3.1%) と前月と
比べて大きく値を下げた。 しかし、 うで、 もも等を必要とする加工メーカーからの
買いが入ったことなどから、 前年同月をやや上回った。 

 また、 9月の国産豚肉の仲間相場は、 うでは冷凍品が、 ももは、 冷蔵、 冷凍品の
いずれもが、 加工メーカー等の買いの強さから前年同月を上回ったが、 その他の部
位は値を下げた。 



9月の輸入豚肉仲間相場 冷凍品は堅調に

  9月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 これまで前年同月を大きく下回って推移し
てきた台湾産が、 対日輸出自主規制の実施等から、 ロースが890円/kg (▲2.2%)、 
ヒレが1,045円 (▲4.0%) と前年同月をわずか、 ないしやや下回る水準にまで戻し
た (図8)。 もも肉も輸出規制の実施等に加え、 加工仕向けの需要の増加を受けて
591円 (4.2%) と前年同月をやや上回った。 一方、 冷アメリカ産はロースが753円
(▲5.0%)、 ヒレが939円 (▲6.7%) といずれも前年を下回ったものの、 減少率は
小さくなった。 

 冷凍品は、 8月の価格に比べて、 すべての部位が値を上げ、 前年同月と比べても、 
総じて強い相場となった。 特に台湾産は、 ヒレ、 うで、 もも、 いずれも前年同月を
大幅に上回った (それぞれ24.6%、 25.8%、 17.0%)。 

 
今月のトピックス
低下傾向にある豚肉生産 
  最近の年間推定出回り量は140万トン台で推移し、 需要の伸びはほとんど見られ
ない。 しかし、 加工品仕向け肉量は6年1月から、 一人当たりの家計消費量は7年
4月から、 いずれも前年同月を上回っており、 これからの需要の好転が期待される
ところである。 

 一方、 豚肉の生産状況をみると、 一戸当たりの飼養頭数は増加しているものの、 
全体の飼養頭数は減少している上に、 2年続きで猛暑の影響を受けるなど、 精彩を
欠いている。
 
 毎月の出回り量に占める生産量の割合 (自給率) を、 グラフで見ると、 右肩下が
りで推移し、 ここ数カ月は特に低い水準となっている。 牛肉や鶏肉と比べて、 輸入
品と品質の格差が付け難い豚肉にとって、 今後、 自給率を回復していくためには、 
より一層の生産コストの低減、 輸入品に対抗できる品質の差別化、 生産から流通、 
さらには消費に至るまでのあらゆる環境の改善等、 業界を上げての対応が必要とな
ろう。
 
  〔  鶏  肉  〕
 
9月の生産量  前年同月をやや下回る

 9月の生産量は9万4千740トン (▲3.6%) と前年同月をやや下回った (図1)。 
今後の生産指標となる9月のブロイラー用ひなえ付け羽数は、 5千507万羽 (▲0.5
%) と前年同月をわずかに下回った (図2)。 農林水産省統計情報部は、 ブロイラー
用ひな出荷計画について、 前年同月と比べ、 10月94%、 11月97%、 12月93%と見て
いる (10月上旬聞き取り)。 
 
 生産量の約半分を占める主要三県 (岩手、 宮崎、 鹿児島) の9月のひなえ付け羽
数は、 岩手が879万羽 (14.8%)、 宮崎が873万羽 (0.1%)、 鹿児島が1千21万羽
(0.2%)といずれも前年同月を上回った。 

9月の輸入量  前年同月を下回った中国からの輸入
 9月の輸入量は、 4万5千722トン (3.9%) と前年同月をやや上回ったものの
 (図3)、 前月に引き続き5万トンを割り、 急増傾向にブレーキがかかっている。 
 国別に見ると、 中国からの輸入量は、 1万3千397トン (▲9.7%) と前年同月
をかなり下回った。 前年同月を下回ったのは1年7カ月ぶりである。 一方アメリカ
からの輸入量は、 1万2千597トン(22.9%) と前年同月を大幅に上回っている。 
 
 9月の家禽肉の調製品(焼き鳥用串刺しなどが中心と見られ、 タイ、 中国からの
輸入が大部分) の輸入量は、 4千496トン (54.6%) と引き続き前年同月を大幅に
上回った (図4)。
 

 
9月の推定出回り量  前年同月をわずかに上回る 

 9月の推定出回り量は、 14万598トン (0.9%) と前年同月をわずかに上回った
 (図5)。 輸入品は輸入量の増加を受け4万6千562トン (19.0%) とかなり上回
ったものの、 国産品は9万4千36トン (▲6.1%) と前年同月をかなり下回った。 



9月の推定期末在庫量  前年同月を大幅に上回る
 9月の推定期末在庫量は、 12万3千549トン(44.8%) と前年同月を大幅に上回
ったものの、 前月をわずかに下回った (図6)。 輸入品は、 5月から8月にかけて
出回り量を上回る輸入が続いたため、 10万7千889トン (48.0%)と前年同月を大
幅に上回り、 国産品も1万5千660トン(26.0%)と前年同月を大幅に上回った。 
 

 
9月の国産鶏肉の卸売価格  前年同月を下回る

  9月のもも肉、 むね肉の卸売価格 (東京・平均) は、 それぞれ502円/kg (▲
3.3%)、274円/kg (▲16.5%) と、 前年同月をやや又はかなり下回った (図7)。 
 
 9月下旬からは行楽需要などにより、 卸売価格は上昇し、 10月上旬にはもも肉
581円/kg、 むね肉331円/kg、 となった。 しかし、 それ以降は需要も一段落し、 
10月末にはそれぞれ、 558円/kg、 304円/kgまで値を下げた (東京・中値、 農林
水産省 「畜産物市況速報」)。 

 
 
9月の輸入鶏肉の卸売価格  中国産もも肉前月と変わらず
  9月の輸入鶏肉の卸売価格 (関東)は、 中国産もも肉が前月と変わらず355円/
kg(▲2.2%) となり、 前年同月をわずかに下回った。 タイ産もも肉も379円/kg 
(▲4.8%)と前年同月をやや下回った。 

 10月の価格は、 中国産もも肉が358円/kg (1.4%) で前年同月と比べるとわず
かに上回った。 タイ産もも肉は386円/kg (▲4.7%) と前年同月をやや下回った。 

 今月のトピックス
ひなえ付け羽数の減少続く 

 農林水産省は10月27日、 10〜12月のブロイラー用ひなの出荷の見通しを発表し
た。 今年のひなえ付け羽数の合計を試算すると、 6億5千8百万5千羽となり前
年を3.0%下回り、 8年連続の減少となっている。 

 
〔 牛乳・乳製品 〕 

9月の生乳生産量  半年ぶりに前年同月を上回る
 9月の生乳生産量は、 昨年の猛暑で受胎が遅れた牛が分娩を迎えたこと、 1頭
1日当たり泌乳量が回復したことなどにより、 68万3千82トン(0.6%) と半年ぶ
りに前年同月を上回った (図1)。 

 北海道、 都府県別にみると、 北海道はわずかに前年同月を上回ったものの、 都
府県は下回っている (それぞれ2.0%、 ▲0.4%)。
 
 1日当たりの生乳生産量の推移を季節調整済み値でみると、 5年春以降、 ゆる
やかに減少している。 

  牛群検定 ((社) 家畜改良事業団) の結果から、 北海道、 都府県の1頭1日当
たりの平均泌乳量をみると、 都府県では4〜6月まで前年を下回っていたが、 7
月以降、 前年を上回って推移している (図2)。 一方、 北海道は7年1月以降、 
前年を上回っている (図3)。 
  

9月の飲用向け処理量  前年同月をわずかに下回る
 9月の飲用牛乳等向け処理量は、 残暑も厳しくなく、 気温も平年並みであった
ことから前年ほどの伸びはなく、 45万7千264トン (▲2.7%) と前年同月をわず
かに下回った (図4)。 

 1日当たりの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 6年秋以降は減少傾向
にある。
 
 9月の飲用牛乳等の生産量を品目別にみると、 牛乳を始め軒並み前年を下回っ
ている中で、 はっ酵乳だけは一般消費者の健康志向を背景に好調に伸びており、 
4月を除いて前年同月を上回って推移している (牛乳▲3.7%、 加工乳▲6.6%、 
乳飲料▲6.0%、 はっ酵乳4.1%、 乳酸菌飲料▲16.8%、 図5)。 



9月の乳製品向け処理量 前年同月をかなりの程度上回る 

 9月の乳製品向け処理量は、 生乳生産量が回復し始めたものの、 飲用牛乳等向
け処理量が前年同月を下回ったことから、 21万5千148トン (9.1%) とかなりの
程度上回った (図6)。
 
  1日当たりの処理量の推移を季節調整済み値でみると、 5年夏以降減少し、 6年
夏を底にゆるやかに増加している。 




9月のバター 生産量は前年同月を大幅に上回る

 9月のバターの生産量は、 昨年が猛暑により乳製品向け処理量の水準が極めて
低かったこともあり、 4千774トン (18.4%) と前年同月を大幅に上回った (図
7)。
 推定出回り量は7千500トン (2.7%) と前年同月をわずかに上回った。 
  9月の推定期末在庫量は、 3万4千100トン (▲27.5%) で引き続き前年同月を
大幅に下回った。 
 
  大口需要者価格は、 概ね保合で、 951円/kg (▲0.1%) と前年同月並みとなっ
た。 

 


9月の脱脂粉乳 引き続き高値

 9月の脱脂粉乳の生産量は、 1万2千658トン (15.6%) と前年同月をかなり大
きく上回った (図8)。 
 
  輸入量 (飼料用、 学校給食用等を除く。) は800トンとなった。 
 
  推定出回り量は1万8千600トン (▲3.8%) とやや前年同月を下回った。 
 
  9月の推定期末在庫量は、 4万6千トン (57.0%) と前年同月を大幅に上回り、 
増加傾向で推移している。 
  
  大口需要者価格は、 8月と変わらず1万3千567円/25kg (1.6%) と前年同月
をわずかに上回り、 安定指標価格を5.7%上回った。 
 
  なお、 畜産振興事業団による売渡入札は、 9月28日に合計5千862トンが落札さ
れた。
 
  これで追加輸入分1万7千トンの売渡しは全て終了した。 
 
 
 今月のトピックス
−WPC利用の試作品プレゼンテーション−
 10月31日、 畜産振興事業団は、 たんぱく質濃縮ホエイ (WPC) を利用した試作製品
のプレゼンテーションを行った。 事業団は今年度からカレントアクセス輸入の一部と
してホエイ及び調製ホエイの輸入・売渡しを実施している。 調製ホエイの一つである
WPCは、 日本ではまだ馴染みがなく、 需要も未開発なことから、 関係団体の協力によ
りWPCを使った製品を試作した。 

 当日は100人近い関係者が集まり、 試作品のアイスクリーム、 コーヒー飲料、 ヨー
グルト、 ソーセージ等を試食した。 特にアイスクリーム、 ヨーグルトに 「おいしい」 
との声が集まった。 

〔  鶏  卵  〕 

9月の主要5都市の総入荷量  前年同月をかなり下回る


  9月の主要5都市 (札幌、 東京、 名古屋、 大阪、 福岡) の総入荷量は、 2万9千
335トンと前年同月をかなり下回った (▲7.4%、 図1)。
 
 将来の生産指標となる9月の採卵用めすのひなえ付け羽数は、 939万6千羽と前年
同月をわずかに上回った (2.9%)。 農林水産省統計情報部は採卵用めすのひな出荷
計画について、 前年同月に比べて、 10月101%、 11月93%、 12月94%と見ている 
(10月上旬聞き取り)。 


9月の輸入量  前年同月をかなり下回る
 9月の鳥卵類の輸入量は、 9千107トン (殻付き換算) と前年同月をかなり下回っ
た (▲9.8%、 図2)。 輸入品目別にみると、 主に菓子・ケーキ類の原料及び練製品
のつなぎ材料にされる卵白が1, 274トン (実数、 ▲11.4%) と前年同月をかなり下
回ったものの、 ケーキ類・アイスクリームなどの原料にされる卵黄粉は211トン (実
数132.1%) と前年同月を大幅に上回った。 
 

9月の卸売価格  年初来の高値を記録
 9月の卸売価格 (東京、 全規格平均) は、 224円/kgで前年同月をかなりの程度
上回った (11.4%、 図3)。 猛暑で生産量が減少した中で消費が回復したことから、 
卸売価格は8月下旬に反発して以来、 日を追って上げ、 月末には年初来の高値 (250
円/kg、 東京・M) となった。 この結果、 8月まで4カ月連続した鶏卵価格安定対
策事業による補てんは行われなかった。
 
 しかし、 涼しくなり、 産卵率が回復してきた一方で、 特売需要なども一服したこ
となどから、 10月に入り反落、 その後も値を下げ、 10月中旬以降は200円/kg (東
京・M) となっている。
 
 トピックス
日本の鶏卵価格は安い!
 経済企画庁は10月27日に物価レポート'95を公表した。 食料品の小売価格の国際
比較調査 (94年11月調査) を見ると、 概して欧米各都市よりも東京の方が割高の傾
向にある。 しかし 「物価の優等生」 といわれる鶏卵は総じて東京の方が割安となっ
ている。 


海外主要都市の鶏卵の価格水準 (倍)
東京 ニューヨーク ロンドン パリ ベルリン
1 0.77 1.12 1.24 1.18
 

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