豚 肉

豚 肉


● 2月の生産量

前年同月をわずかに下回る  2月の国内生産は、 と畜頭数が141万6千頭 (▲1. 0%) と減少し、 生産量も、 と畜頭数の減少を受けて、 7万4千344トン (▲1. 7%、 図1) となった。  と畜頭数は、 6年6月以降前年同月を下回っての推移が続いており、 11月から 1月までの3カ月間は、 減少率5%台で推移してきた。 2月は国産枝肉相場が高 騰したことから、 早期に出荷された肥育豚が多かったと見られ、 前年同月をわず かに下回る水準にとどまった。  平均枝肉重量 (全国平均) は、 75. 0kg (▲0. 8%、 図2) と、 早期出荷の影 響等により、 1月に引き続き前年同月を下回った。
◇図1:豚肉の生産量◇
◇図2:豚平均枝肉重量◇

● 2月の輸入量

前年同月を大幅に下回る  2月輸入量は、 2万5千62トン (▲31.7%、 図3) となった。 内訳は、 冷蔵品 が1万785トン (6. 9%)、 冷凍品は1万4千278トン (▲46. 3%) である。  11月のSG発動以降、 テーブルミート向けの需要が高い冷蔵品の輸入量は、 前年 同月を3〜7%下回って推移してきたが、 2月は、 需給がひっ迫し、 国産豚枝肉 相場が高騰したこともあり、 前年をかなり上回った。 一方、 加工向けの需要が高 い冷凍品は、 依然前年を大きく下回って推移している。  国別では、 従来から冷蔵品の輸入割合が高く、 対日輸出体制を整えてきた米国 が、 SG発動後も冷蔵品の輸入を大幅に伸ばしてきた。 しかし、 2月は冷凍品輸入 の減少から前年同月を5. 9%上回るにとどまった。 一方、 冷凍品の輸入割合が高 い台湾は、 前年同月を下回ったものの、 1月に比べて冷蔵、 冷凍いずれも増加し、 輸入量全体では前年を10%程度下回る水準まで回復してきた (図4)。  なお、 新年度を迎え、 4月から輸入基準価格が759.30円 (部分肉、 7年度SG発 動ベース) から、 600.03円/kgに引き下げられた。
◇図3:豚肉の輸入量◇
◇図4:豚肉の国別輸入量◇

● 2月の推定出回り量

前年同月をわずかに下回る  2月の推定出回り量は、 10万8千597トン (▲0.6%、 図5) となった。 内訳は、 国産品が7万4千778トン (▲0. 1%)、 輸入品が3万3千819トン (▲1.7%) で ある。  国産品は、 生産量の減少から7年6月以降、 前年同月を下回って推移してきた が、 2月は生産量の一時的と見られる回復を受けて前年並みの水準となった。 一 方、 輸入品は、 国産品出回り量の回復や、 輸入量減少による在庫の取り崩しの進 展などから、 前年同月をわずかに下回った。
◇図5:豚肉の推定出回り量◇

● 2月の期末在庫量

未通関在庫は積み増しが進む  2月の推定期末在庫量は、 9万2千889トン (5.4%、 図6) となった。 内訳は、 国産品が、 1万1千652トン (▲36.7%)、 輸入品は、 8万1千237トン(16.5%) である。  国産品は、 これまでの生産量の減少を受けて、 前年同月を大幅に下回った。 一 方、 高い在庫水準で推移してきた輸入品は、 輸入量の減少から、 10月をピークに 在庫の取り崩しが進み、 1月末に比べて約9千トン減少したものの、 前年同月を 大幅に上回った。  なお、 未通関在庫は積み増しが進み、 1万5千861トン (267.3%、 図7) とな った。
◇図6:豚肉の推定期末在庫量◇
◇図7:豚肉の未通関在庫量の推移◇

● 2月の国産枝肉価格

急騰し、 前年同月を大きく上回る  2月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 537円/kg (31.3%) となった (図8)。  大雪による出荷への影響に加え、 生産量の減少の一方で、 一部の需要者に加工 向けの引き合いが強まったことから、 需給がひっ迫し相場は急騰した。 また、 規 格別の卸売価格を見ると、 「並」 の価格が前年同月の 「上」 の価格を上回る等、 底堅く値を上げた (図9)。  3月の卸売価格 (速報値) は、 479円 (8.1%) となった。 3月中旬から月末に かけては、 決算期を迎えたこと等から、 年度末の在庫の整理が進み、 また家計消 費等末端の引き合いも弱くなったとみられることから、 相場は弱含みで推移した。 しかし、 月平均では前年同月をかなり上回った。  また、 2月の国産豚肉の仲間相場は、 特に、 加工用としての需要が高い「うで」、 「もも」 が依然として高値で推移しており、 冷蔵、 冷凍いずれも前年同月を大幅 に上回った (31.7%〜35.6%)。 その他の部位も枝肉相場の高値を反映して、 前 年同月を大きく上回った。
◇図8:豚肉の卸売価格◇
◇図9:豚肉の卸売価格(東京・規格別)◇

● 2月の輸入豚肉仲間相場

総じて前年同月を上回る、 冷蔵品は堅調  2月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 輸入量の減少から、 全ての部位で前年同 月を大きく上回った。 テーブルミート需要が強いと見られる米国産ロースは、 840円/kg (13.1%、 図10) と前月に比べて68円値を上げ、 台湾産も897円 (11.8%) と前月より53円値を上げた。 この他、 台湾産もも肉も、 726円 (30.8%) と高値が続いている。  冷凍品も、 総じて前年同月を上回った。 特に加工向けが中心となる台湾産のう で、 ももは、 品薄感から依然として、 前年同月を大幅に上回り (それぞれ28.1%、 37. 3%、 図11) 高値で推移している。
◇図10:輸入豚肉の仲間相場(冷蔵品)◇
◇図11:輸入豚肉の仲間相場(冷凍品)◇

今月のトピックス

豚肉生産と卸売価格


 豚肉の供給量 (主に、 生産量+冷蔵品輸入量) の変動は国内相場に最も大きな 影響を与える。 国内生産量は、 総供給量のうち、 6割強を占めるが、 と畜頭数は、 約11カ月前の種付け時期や、 約7カ月前の分娩時期の気温等が、 母豚の受胎率、 子豚の事故率に影響を及ぼすことによっても変動する。  最近のと畜頭数は、 5年、 6年と、 母豚の減少を受けて、 右肩下がりの傾向で 推移してきたが、 ほぼ同様の季節性を保って推移してきた。 しかし、 平成7年は、 SG発動の11月以降に輸入量が激減し、 季節的にと畜頭数が減少する時期を迎える 前に卸売価値が上昇、 2月に再び高騰する等、 これまでにないパターンで動いて いる (図12)。  一方、 平均枝肉重量は、 卸売価格により変動していると言える (図13)。 卸売 価格が上がると早期に出荷され、 卸売価格が下がると枝肉重量を増やして、 生産 者は収入の安定を図っている。  国産豚肉相場はSGの発動以降、 堅調に推移し、 一部の生産者に繁殖母豚の増頭 意欲があるとの話も聞く。 しかしながら、 生産コストは、 全算入生産費の約62% を占める (平成7年) 流通飼料費が、 穀物相場の高騰を反映して上昇することが 予想される等、 今後経営を圧迫する要因もある。  国産豚肉の生産の回復が期待される中で、 豚肉需給と、 卸売価格の安定を図る ためには、 豚の生産管理技術の向上と、 需給見合いの安定的な輸入が強く望まれ る。
◇図12:豚肉の卸売価格と平均枝肉重量◇
◇図13:豚肉の卸売価格とと畜頭数◇

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