● 10月の生産量
引き続き減少
10月の生産量は、 3万4千420トン (▲6.6%) であった (図1)。
和牛のと畜頭数は、 母牛頭数の減少等から、 昨年11月以降、 前年同月を下回っ
て推移している (10月▲1.8%、 4〜10月累計▲6.1%)。 めすのと畜頭数の減少
率は、 去勢を4.8ポイント (4〜10月累計) 上回っており、 母牛頭数の減少にブ
レーキがかかっているのではないかと期待される。
乳牛のと畜頭数も、 母牛頭数の減少等から同様に減少している (10月▲8.4%、
4〜10月累計▲7.0%)。
● 10月の輸入量
枝肉等の輸入が急増
10月の輸入量は、 O−157の影響等から激減した9月よりも約1万トン増え、 4
万4千776トン (▲14.7%、 図2) となった。 冷凍品は、 前年同月比▲21.8%、
冷蔵品は同▲9.3%となっているものの、 それぞれ減少幅は縮小している。
国産相場が極めて堅調なことから、 代替性の高い冷蔵枝肉、 四分体の輸入が豪
州産を中心に1千113トン (320.0%) と急増した。
米国産は、 冷蔵品、 冷凍品ともに前年同月を下回っているものの、 減少率は縮
小し、 2万1千626トン (▲18.9%、 図3−1) となった。
豪州産も、 同様の傾向で、 2万764トン (▲11.8%、 図3−2) であった。 そ
の中で、 旺盛なハンバーガー等需要から、 原料の 「冷凍品その他」 は前年同月を
わずかながら上回っている。
事業団調査によると、 11月の輸入量は4万3千トン (冷蔵品2万7千トン、 冷
凍品1万6千トン)、 12月は4万2千トン (冷蔵品2万6千トン、 冷凍品1万6
千トン)、 1月は12月に比べて冷蔵品、 冷凍品ともにかなり減少するものと見込
まれる。
● 10月の推定出回り量
減少率は縮小へ
10月の推定出回り量は、 国産品、 輸入品ともに減少し、 合計では8万5千158
トン (▲6.2%、 図4) であった。 8月、 9月と2カ月続いた1割以上の減少に
比べて、 減少率は縮小している。
家計購入量 (1人当たり)は、 BSE報道の影響から、 4月以降、 前年同月を1割
程度下回り、 さらに7月からはO−157報道の影響が加わり、 9月は▲13.4%の減
少となっている (図5)。
● 10月の推定期末在庫量
引き続き高水準
10月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を大きく上回り、 11
万9千364トン (27.6%、 図6) であった。 輸入品は、 SG発動前に冷凍品の在庫
が積み上がったことから、 10万5千493トン (30.1%) と引き続き高水準にある
が、 7月をピークに徐々に減少している。
● 10月の国産枝肉卸売価格
引き続き好調
10月の省令価格 (東京市場) は、1,152円/kg(12.6%、 図7)となった。 国産品
への人気集中で高騰した9月よりは下げたものの、 生産量が減少傾向にあること
もあり、 引き続き高い水準にある。
去勢和牛A2・A3は、 量販店の和牛取り組み強化等から引き続き好調である
(A3−1,547円/kg (5.0%)、 図8−1)。 加えて上位等級のA4にも、 買いが入
り1,775円 (2.3%) と前月に続いて、 前年同月を上回った。 一方、 高級品A5の
需要はまだ弱く、 2,239円/kg (▲4.8%) と下げ傾向が続いている。
交雑種 (F1)、 乳用種去勢牛は、 輸入牛肉に代えて国産牛肉の取り扱いを強化
している量販店の需要に支えられ好調である。 特に生産量の減少している乳用種
去勢牛B2は、 前年同月を大幅に上回っている (F1B3−1,292円/kg (0.9%)、
乳用種B2−847円/kg (32.3%)、 図8−2)。
● 10月の輸入牛肉仲間相場
品薄から続伸
10月の輸入牛肉の仲間相場は、 8月以降輸入量が絞りこまれた影響で、 品薄か
ら続伸する品目が多かった。
北米産は、 荷余り感のあるチャックリブが続落した以外は、 輸入量が絞り込ま
れたことなどから112Aリブアイロールが1,688円 (16.1%、 図9) となるなど、
総じて前年同月を上回った。
豪州産は、 前月に引き続き品薄からグラスフェッド・フルセットが593円/kg
(8.0%) となるなど続伸した。 しかし、 11月に入ると品薄も徐々に解消し、 反落
する品目もでてきた。
● 10月の黒毛和種の取引
価格は前年同月をわずかに上回る
10月の黒毛和種の取引頭数は、 母牛頭数の減少等から、 2万1千862頭 (▲4.8
%)と引き続き前年同月を下回った。 価格は、 37万3千円/頭 (0.7%、 図10)と
前年同月をわずかに上回った。
● 10月のホルスの取引
頭数減などから続伸
10月のホルスタイン種の取引は、 母牛頭数の減少、 F1生産の増加等から頭数
が減少している一方、 価格は枝肉価格の好調を反映し、 肥育経営の導入意欲が強
いことなどから、 12万1千円/頭 (47.0%、 図11) と引き続き大きく前年同月を
上回っている。
ヌレ子は、 前月より4千円値を上げ、 4万3千円/頭 (35.8%)と、 引き続き
大きく前年同月を上回っている。
● 10月のF1の取引
20万円台を維持
10月の交雑種 (F1) の取引は、頭数が大幅な増加傾向にあるにもかかわらず、
価格は20万9千円/頭 (12.6%、 図12) と引き続き高い水準にある。 これは、 枝
肉価格が底堅く推移し、 肥育経営の導入意欲が強いためと見られる。
一方、 ヌレ子は9万3千円 (▲7.6%) と10万円を割っている。
(注) 数字は農畜産業振興事業団調べ。 取引価格は、 おす・めす平均である。
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