◎地域便り


童話風の農場名で絵本の里づくりに一役

北海道/川田 武
 北海道上川支庁管内剣淵 (けんぶち) 町は、 稲作・畑作・畜産などの純農村地
域で、 農家戸数は約550戸である。 この町には、 絵本の世界から飛び出したよう
な名前の農場が散らばっている。 

 これは、 同町の 「絵本の里づくり構想」 の一環として、 自然農法を実践する 
「生命を育てる大地の会」 が子供たちに農業をもっとよく知ってもらうことを狙
いに進めている活動である。 「クレヨン農場」 「てんとう虫農園」 「ファーム金太
郎」  「どんぐり農園」 「ひまわり農園」 「赤とんぼ農園」 など大地の会の農場には
どれも童話に出てくるような夢のある名前がついている。 

 大地の会では、 農畜産物を個人名よりも、 ユニークな農園名で出荷した方が受
け取った人の受ける印象も強く、 しかも絵本の町剣淵町のPRにもなると、 看板や
屋根に農園名を書きアピールしている。 

 自然農法を実践して7年目、 「食は命なり」 を合い言葉に、 消費者ニーズに合
致した独自の厳しい栽培及び飼養基準を設け、 産直活動などを行っている。 

 また、 子供たちに農業をもっと知ってもらおうと、 原画や絵本を集めた 「絵本
の館」 に独自の文庫を設置して、 毎年農畜産物の売上金の一部を絵本の購入資金
に充て、 農業や自然環境についての絵本を寄贈するなど、 教育面にも力を入れて
いる。 

 今のところ、 絵本を定着させるのに精一杯だが、 20〜30年後には田舎と絵本の
マッチした純農村の担い手育成、 若さみなぎる農村建設を夢見て地道な活動に励
んでいる。


元のページに戻る