◎地域便り


須川牧場の冬期預託準備進む

岩手県/工藤 さおり
 須川牧場は、 昭和41年に開牧し、 岩手県一関市、 花泉町、 平泉町と各農業協同
組合により共同運営され、 乳肉用牛の放牧受託や牧草の販売を行う西磐井地方唯
一の公共牧場である。 平成2年から地域畜産活性化総合対策事業等の活用により、 
草地管理機械の導入 (H2)、 牧場施設の設置 (H5〜6)、 黒毛和種の不妊牛対策
としてまき牛繁殖および冬期預託 (H5〜) 等を行ってきた。 その結果、 放牧頭
数は、 事業開始の平成2年度182頭であったのが、 今年度は420頭にまで増加し、 
近年では黒字経営に転じ、 磐井地方の銘柄牛で質量兼備の 「いわい牛」 振興の中
心的役割を担っている。 

 昨年度からはホルスタイン種についても冬期預託を実施している。 酪農家の所
得拡大や和牛産地の維持拡大を図るため、 ホルスタイン種には黒毛和種の受精卵
移植を取り入れ、 昨年度は70頭ほどの預託牛のうち19頭に移植した。 

 今年度の冬期預託も、 黒毛和種60頭、 ホルスタイン種70頭の計130頭を目標に
準備が着々と進められている。 牛の管理や作業の効率を考慮し、 また、 昨年の経
験を踏まえて畜舎の整備を自力で進め、 実際に冬期預託を希望している農家に施
設を見学してもらい、 牧場職員を交えての検討会を計画するなど、 牧場職員も農
家の期待に応えるため意欲を燃やしている。 飼養管理の方法や種付け成績の向上、 
生産された子牛の取り扱いなど解決しなければならない問題はまだまだあるもの
の、 この取り組みの成果はおおいに期待され、 さらには地域全体の畜産の活性化
の一助となるものと考えている。


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