◎地域便り


市街化区域での堆肥化処理も、 これなら安心

愛知県/安藤 学
 名古屋市中央卸売市場高畑市場では、 廃棄される内臓及び血液等を堆肥化する
ための処理施設を新たに整備し、 この夏から本格的に稼働を始めた。 

 当施設は、 市街化区域の中にあるため、 万全の悪臭対策が必要であり、 しかも
少ない用地面積という前提条件をクリアーするために、 特徴的な構造となってい
る。 基本的には密閉式深層発酵槽を複数組み合わせ連続発酵処理するシステムで
あり、 コンベアー等を駆使して、 投入部から取り出し口までの全工程を密閉空間
で操作する仕組みになっている。 堆肥化の際に発生する悪臭については、 閉鎖シ
ステムで完全捕集し、 酸性溶液が循環する約10mの脱臭塔でアンモニアを化学的
に吸着させた上で、 ピートモス (泥炭より炭化度の低い草炭) を4層に重ねた生
物脱臭槽を通し念を入れている。 それにより、 市街化区域にあっても問題ない程
度までの脱臭が図られている。 当施設では、 血液等に安価で入手できる堆肥化処
理したコーヒー粕を水分調整材として混合し、 内臓は有姿のまま投入し、 1日当
たり6.4トンを処理している。 

 一方、 このシステムは家畜ふん尿の堆肥化処理にも十分応用できるために、 畜
産農家の関心も高い。 市街化の進展により環境条件が特に厳しい地域では、 畜産
農家がグループを作り当該システムの導入について真剣な議論を始めている。 少
ない用地面積で、 万全の悪臭対策ができるとなれば・・・農家が真剣に導入を検
討するのも納得できる。


元のページに戻る