◎地域便り


県立農大でET産子の双子 (雌) 誕生

鳥取県/妻由 道明 (つまゆ みちあき)
 鳥取県東伯郡関金 (せきがね) 町の県立農業大学校で、 平成8年10月9日早朝、 
受精卵移植によるスーパーカウ (高能力乳牛) の雌の双子が、 予定日より3週間
早く誕生した。 借り腹の牛は初産の乳牛。 初産で双子を生ませるのは難しいと言
われるが、 元気に双子を出産し、 しかも両方雌とあって農大では関係者一同大喜
びだ。 

 父はアメリカからの輸入精液、 母は平成3年にカナダから輸入された、 県畜産
試験場のスーパーカウである。 

 一般的な、 受精卵移植はホルスタインの育成牛に、 和牛卵を1卵移植するケー
スが多いが、 農大では試験的に県畜産試験場より提供されたホルスタイン種の受
精卵2卵を移植し (H8.1.23)、 その成果を見ることにした。 

 移植1ヵ月後、 超音波診断装置で妊娠鑑定をしたところ受胎が確認された。 そ
の時点では単胎か双胎か不明だったため、 皆分娩予定日を心待ちにし、 「1頭で
も雌が生まれると良いのに」 と期待していた。 ところが受卵牛は、 予定日が近づ
くにつれ食欲が増し、 体重も700kg近くになった。 しかも、 双子特有の両下腹が
異常に大きくなってきた。 

 双子の雌雌の確率は低く、 一方、 雄雄でも雄雌でも目的とする雌の後継牛は得
られない。 しかも初産牛なので、 うまく生んでくれるだろうか……そんな不安が
関係者の胸中をよぎった。 

 分娩予定日1ヵ月前から分娩室に入れ、 朝夕検温しながら無事な出産を祈って
いたところ、 10月9日早朝、 職員・学生が見守る中、 自然分娩で双子が誕生した。 
2頭とも雌であることが確認されると、 期せずして万歳の声がわきあがった。 

 農大では 「父母とも高能力牛の子が雌の双子で喜んでいます。 一度に高能力牛
の姉妹が生まれ、 乳牛の改良を進めるのに大助かりです」 と話していた。

【受精卵で双子の姉妹誕生】


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