◎地域便り


英国から繁殖用黒豚を導入

鹿児島県/平田 尚昭
  「日本一うまい和牛と黒豚の里づくり」 に取り組む鹿児島県曽於 (そお) 郡末
吉町に、 英国から導入したバークシャー種6頭 (雄2頭、 雌4頭) が、 11月9日
に1ヵ月の検疫を終えて到着した。 英国でも純粋なバークシャー種は年々少なく
なっており、 町の関係者は 「貴重な資源」 と大きな期待を寄せている。 

 末吉町では、 これまで種雄豚を平成元年に2頭、 平成4年に1頭を導入し、 在
来の 「かごしま黒豚」 に交配してきたが、 近交係数が高まり産子数が減少するな
どの弊害が出てきたことから、 血統更新を行うため今回の導入となった。 8月末
から9月上旬にかけて町の畜産課長を英国に派遣し、 リストアップされた30戸の
農家を訪ね、 優れた体型と血統 (これまで導入した種雄豚の血統と異なる血統) 
のバークシャー種6頭を選抜し購入した。 購入価格は雄が1頭当たり37万円、 雌
が28万円で、 輸送コスト等を加えた総経費は約500万円、 うち87.5%を町が負担
した。 

 導入したバークシャー種6頭は、 3頭 (雄1頭、 雌2頭) 1組で、 町の指定種
豚場である橋口康則 (はしぐち やすのり) さんと富窪正二 (とみくぼ しょう
じ) さんの農場に管理委託され増殖を図り、 町内の30戸の黒豚飼育農家に種豚を
供給する計画である。 

 末吉町では、 鹿児島県が造成した系統豚 「サツマ」 及び 「ニューサツマ」 も導
入し黒豚生産に努めているものの、 在来種の純粋黒豚にもこだわり、 英国バーク
シャー種に由来する種豚と在来種との掛け合わせによる特徴ある黒豚肉の生産に
取り組んでいる。 

 また、 町内の食肉処理会社である南九州畜産興業 (株) の技術協力を得て、 平
成9年度に同町に完成予定の 「農産物加工センター」 で、 ハムやベーコンなど加
工品の生産も開始する計画で、 本格的な 「黒豚の里づくり」 を展開することとし
ている。

【英国から導入された黒豚と田崎町長ほか関係者】


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