◎巻頭言


食生活の充実と畜産の発展のために

畜産振興事業団 理事長 塩 飽 二 郎







 1996年を迎え、 新春のお慶びを申し上げます。 年頭に当たり、 ひとことご挨拶を

申し上げます。 



 昨年を顧みますと、 阪神・淡路大震災やオウム事件など暗い不幸な出来事が多く、 

また、 金融、 雇用等経済状況も誠に厳しいものがありました。 



 畜産関係につきましては、 ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意による乳製品

の関税化、 豚肉の差額関税制度の変更、 牛肉の関税率の引き下げなどが4月から実

施され、 また、 同合意に基づくセーフガード (輸入量の急増に対する関税の緊急措

置) が、 冷凍牛肉については8月から、 豚肉については11月から発動されました。 



 畜産振興事業団としましても、 乳製品の輸入について新たな業務を開始しました。 

従来の価格高騰時の輸入に加え、 対外約束に基づき恒常的に輸入するカレントアク

セス (生乳換算約14万トン) に係る脱脂粉乳やホエイパウダーなどの輸入・売渡業

務等を行うこととなり、 昨年から実施しています。 



 年末には、 農業全般については 「農産物の需要と生産の長期見通し」 が、 畜産に

ついては 「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」 及び 「家畜及び鶏

の改良増殖目標」 が策定されました。 今後10年間の施策の展開方向が示されたわけ

で、 畜産振興事業団としましても施策の実施機関として、 指定助成対象事業等を通

じて、 生産から、 加工・流通にわたる各般の施策を的確に推進していく所存です。 



 肉用牛生産の安定的な発展のためになくてはならない肉用子牛生産者補給金制度

は、 本年、 制度発足から7年目を迎えますが、 今年も、 その的確な運用に努めてい

きたいと思います。 



 本誌 「畜産の情報」 も、 創刊以来7年目に入りますが、 情報業務の柱として、 内

容の充実を図り、 皆様のお役に立つ情報の提供に努めてまいりたいと思います。 



 昨年来、 論議のありました当事業団と蚕糸砂糖類価格安定事業団との統合問題に

つきましては、 次期通常国会へ統合に係る法案が提出されることとなりました。 組

織は統合されますが、 日本の畜産の安定的発展を図るという当事業団の重要な役割

は、 世界的な食料事情が楽観できない中で、 今後とも変わることはありません。 本

年も、 農林水産省のご指導の下、 食生活の充実と畜産の発展のために、 役職員一丸

となって精一杯、 努力してまいりますので、 何卒一層のご指導とご協力を賜ります

とともに、 皆様のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、 年頭のあいさつといたしま

す。

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