◎地域便り


家畜のふん尿は貴重な有機質資源

北海道 田中義春

 北海道の最東端標津 (しべつ) 町は、 標津川をはじめ忠類川、 古多糖川など日

本でも有数のサケがのぼる川が流れる町として知られ、 サケの遡上を間近に見ら

れる全国でも初めてのサーモンパークに多くの観光客が訪れている。 酪農も盛ん

で近年は急速な規模拡大が進み、 ふん尿が河川に流出し、 環境問題の発生も心配

されている。 



 標津町の田中健司さんは、 雨水が入り、 ベタベタした厄介物のふん尿を貴重な

有機質資源として生かそうと新しくたい肥舎を建設した。 

 【道内でも珍しい屋根つきの堆肥舎】



 道立根釧農業試験場や地元の普及センターの指導もあって、 総工費900万円で

625平方メートルの道内にも数例しかないたい肥舎2棟を建てた。 雨水の侵入を

防ぐためたい肥盤に屋根をかけ、 傾斜をつけれき汁をパイプで抜き取るしくみに

なっており、 固形物の多い育成牛のふん尿を混ぜ合わせてたい肥をつくる。 



 たい肥舎に積まれたふん尿は、 温度が50度まで上昇し、 従来のねばねばしたコ

ロイド状の面影は全くない。 田中さんは、  「化学肥料の節約と農村環境にも良い

影響を与えると思っています。 」 と話していた。 



 ふん尿問題に頭を痛めていた町関係者は、 このたい肥舎が周辺酪農家のモデル

になってくれればと期待している。 



 北海道の単独補助事業として平成6年度から行われている有機質リサイクル事

業で取り組んだこの種の施設は、 すでに4戸と成果が上がっている。 この事業は

今年で終わるが、 地元関係者からはまだ数年続けて欲しいという意見も出ていた。 


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