◎地域便り


農村活性化フォーラムでふん尿処理を検討

北海道 橋立賢二郎

 12月1日、 北海道豊頃町で約250名の関係者が集い、 農村活性化フォーラムが

開催された。 十勝東部地区農業改良推進協議会と十勝支庁が主催したもので、 今

回は環境にやさしい酪農実現のため、 ふん尿処理問題が取り上げられた。 



 フォーラムではふん尿処理の権威である本多勝男氏 (神奈川県畜産試験場) が

講演した。 氏は今まで多くのふん尿処理技術の開発・普及を手がけた経験をもと

に、 ふん尿の基礎知識から発酵処理技術、 さらに昨年から豊頃町で稼働している

フィルムハウス (ビニールハウス) による発酵乾燥のほか、 コスト面にも触れ、 

農業者の立場にたった話題を提供してくれた。 講演では、 牛の場合、 ふん中水分

が高いのでふん尿分離の必要性は低い



1)水分の減少効率をあげることが処理の早さにつながる

2)発酵処理の基本は、 好気性菌の活動条件を与えることで、 それにはふん尿の通

 気性と堆積物の表面積確保がもっとも重要

3)安価・無臭・省力・耐久性を考慮すれば、 フィルムハウス内で多量の乾燥たい

 肥を薄く広げ、 それに生ふん尿を切返し混和するのが良い

4)フィルムハウスだけで多量のふん尿を処理するには、 広い面積が必要でコスト

 が上昇するため、 限界がある

5)したがって、 フィルムハウスの地域や季節ごとの処理効率を評価するとともに、



 たとえば、 従来の土地還元型の方法でもオーバーフローしてしまう部分に対し

て用いるなど、 工夫できる補完的技術と位置づけられる

などの考え方が示された。 同時に、 たい肥生産あるいは効用にまつわる風聞につ

いては、 ほとんどが意味不明であるとの見解も示された。 



 参加者は熱心にメモをとっていたが、 ふん尿発酵の基本が理解でき、 今の時点

での施設の整備・利用の考え方など多くのヒントをつかめたようである。 



 また、 フィルムハウスで処理されたたい肥の現物が回覧されたが、 おそるおそ

る袋を開け無臭を確認し、 ほっとする様子も見られた。 その後、 活発な討議が行

われ、 特に農業者・指導者から身近な質問が出されて有意義なフォーラムを終え

た。 


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