◎地域便り


日本短角種の経営安定を目指して

岩手県 橋本光幸

 岩手県の県北・北緯40度に位置する安代町は、 110戸の農家で850頭の日本短角

牛を夏山冬里方式で飼養する、 県内でも有数の短角牛産地の1つである。 



 赤身肉主体の短角牛は、 肉質において輸入牛肉と競合するため、 子牛販売価格

も自由化前に比べ大きく下落、 小規模経営、 生産者の高齢化が進む中、 経営安定

に向けた対策が急務となっていた。 



 このような中、 安代町の新町牧野農業協同組合 (組合員数119名) では、 畜産

活性化総合対策事業を活用し、 短角牛の冬期共同管理施設 (100頭規模) を総事

業費117,610千円 (国費58, 415千円) で整備した。 



 牛舎は開放型で、 繁殖牛たちは、 冬期間平均気温−9.2度、 積雪2メートルの

中、 風邪等の病気にも負けず、 野外での分娩もしばしばあり、 生まれた子牛達も

元気に育っている。 



 この施設の設置により、 新規就農者や、 高齢化や畜産公害等により家畜の飼養

をやめた農家のぜひ日本短角牛を飼養したいという要望に答える形で、 通年で組

合が管理委託を受けた結果、 飼養農家が16戸も増えるなど地域に飼養意欲も高ま

り事業効果もあがっている。 



 家畜の飼養希望は、 まだまだあるものの、 牛舎がすでにいっぱいとなり、 組合

としても嬉しい悲鳴を上げている。 



 また、 町内の肥育農家と連携し季節繁殖による端境期を解消し、 周年出荷を目

指すべく肥育素牛の周年生産にも力を入れている。 


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