◎地域便り


牛舎は快適な1LDK 

鳥取県 岩尾 健

 鳥取県の和牛繁殖農家は、 役用牛時代からの1、 2頭の小規模経営が大半を占

める中で、 経営者は年々高齢化し、 後継者不足に悩まされているだけでなく、 経

営も厳しいところが多い。 



 打開策として、 飼育する頭数を増やし、 経営を大規模化して、 1頭当たりの生

産コストを低減し、 合理的かつ省力的に牛を管理することによって、 少ない労働

力で高収益につながる魅力ある経営体制にする必要がある。 それを可能とする技

術の1つがフリーストール牛舎方式である。 



 これは、 多頭飼育の酪農分野で開発されてきた技術で、 この技術を和牛繁殖雌

牛に応用するため、 平成5年から鳥取県畜産試験場で改良研究が行われている。 



 フリーストール牛舎は、 人間がベッドで寝て、 トイレで排便し、 食卓でご飯を

食べるように、 牛の寝る場所、 運動・排せつの場所、 採食の場所をはっきりと区

分けした構造をしている。 そのため、 小さい面積で多くの牛を飼うことができ、 

牛舎内で牛がそれぞれの場所で正しく行動することによって、 低コスト・省力化

を実現できる。 例えば、 敷料は寝床にだけまけばよいため、 従来に比べて格段に

少ない量で長持ちさせられる。 飼料給与面では、 採食時に連動スタンチョンで牛

を固定することによって確実に個体管理ができ、 餌をまき散らすこともない。 ふ

ん尿は運動・排せつの場でのみ排せつされ、 機械を利用して効率的に取り除くこ

とができる。 



 このフリーストール牛舎は、 コスト低減と省力的管理を主目的とした和牛繁殖

雌牛の集団飼育法の先端技術として、 魅力ある経営を実現できると期待されてい

る。 一部の和牛多頭飼育農家では、 この方式を取り入れてはと強い関心を示し、 

目下勉強中である。 



【フリーストールに横臥中の牛たち】

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