◎地域便り


若者に夢を託す牧場

愛媛県 戸田広城

 愛媛県東予市にある酪農専業の宇佐美牧場は、 瀬戸内海に面した温暖な地域に

ある。 この地域は水田地帯である周桑しゅうそう平野の中央に位置することから、 

地域水田農家の22ヘクタールの稲ワラを有効に利用し、 年間サイレージ給与体制

を確立している。 



 労働力は、 経営主の忠孝さん (51歳) 、 奥様の鈴枝さん (47歳) および年間雇

用女性 (46歳) の3名が基本である。 搾乳牛120頭、 育成牛50頭を飼養している。 

また中四国でも数戸しか利用されていないスチールサイロを利用しており、 大規

模で先進的な牧場である。 



 一方では、 中国四国酪農大学校や県立農業大学校の研修生の受入れも積極的に

行っており、 この17年間で受入れた研修生は50名以上に上る。 最近では、 酪農大

学校から岐阜県出身の女性が研修を終えたばかりで、 牧場はいつも若者で活気に

あふれている。 



 平成7年春には、 長男貴史さん (23歳) が北海道の酪農学園大学酪農学科を卒

業して就農し、 新規就農者として活躍し始めた。 



 現在牧場では、 父親忠孝さんの夢を貴史さんが引き継ぎ、 世界相手の競争が可

能な経営を目指して、 フリーストール、 ミルキングパーラーの導入による労働時

間の短縮による“ゆとり”の創出と、 輸入牛導入 (今年度100頭予定) により搾乳

量を高める経営安定化に取り組んでいる。 新たな農地取得による飼料生産基盤の

確保、 地域との協調性を重点とした環境保全対策の推進も掲げており、 その夢の

実現に向けて鋭意努力中で、 若者の活力に夢を託している。 


元のページに戻る