◎地域便り
ダチョウ (Ostrich) で地域おこし
北海道/田中 義春
近頃、 中国全土でダチョウの飼育が一大旋風を巻き起こしているといわれてい
るが、 北海道の網走支庁管内東藻琴 (ひがしもこと) 村では、 ダチョウを生産し、
販売しようという動きが地域おこしの一環として注目を浴びている。 村内の酪農
家や商店主など26人が集まり、 地元オホーツクで金持ちになろうと 「オホーツク
リッチ」 (オホーツク+オーストリッチ) と名付けて活動を始めた。
そもそも、 「オホーツクリッチ」 の代表格である小久保謙さんが海外旅行の時、
この鳥を見て、 日本で将来きっと成長する産業と考えたのが始まり。 その後、 北
米や欧州などを回り、 文献を読みあさり、 試食をするなど、 オーストリッチにつ
いて調べ上げた。
その結果、 肉は柔らかく、 牛肉に匹敵するおいしさと低カロリーで健康食品で
あること、 羽や皮、 脂肪すべてが使えてしかも貴重な価値があること、 さらに暑
さ寒さに強く、 特別な施設がなくても適応性が極めて良いこと、 草から穀類まで
雑食性に優れ、 輸入国日本に向いていること、 飼料効率が高く成長が早く、 10か
月で100kgに達すること、 観光資源にもなり得ること、 などがわかってきて、 挑
戦することとした。
昨年の6月にドイツから輸入した雄2羽雌4羽から生まれた1,500gの大きな卵
をインキュベータでふ化しているが、 換気に気を使い、 湿度と温度を一定に保ち、
酸素供給に細心の注意をはらっている。
オーストリッチについて本格的に取り組むのは日本で初めてということもあり、
このグループは定期的に集まり、 外国からの文献を見ながら飼育法や疾病対策、
肉の流通についても研究している。
寒い北海道で冬を越して飼われたことで、 本州からの問い合わせも多くなって
いる。 しばらくは各地ですそ野を広げ、 販売網を日本全国で確立するために、 丈
夫になった3か月のひなを提供したいとしている。
グループの中の酪農家は北海道でも有数の技術と経営の手法で知られ、 視察者
なども多く酪農業界のリーダーでもある。 心にゆとりを持ち、 地域全体を活性化
する上でも是非このユニークな取り組みを成功させたいと、 期待は大きい。
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