◎地域便り


進む北海道の酪農ヘルパー事業

北海道/佐々木 史進

 北海道の酪農ヘルパー事業は、 平成8年4月1日現在、 組織数81、 専任ヘルパ

ー249名・臨時ヘルパー550名、 酪農家の組合加入戸数6,730戸で、 1組合当たり

組合加入戸数は平均83戸、 専任ヘルパー3.1人、 臨時ヘルパー6.8人である。 



 利用組合の設置は、 酪農地帯ではほぼ完了したが、 将来に向けては耕種地帯で

の設立と、 既存組織の広域化による酪農ヘルパーの効率的利用促進が必要とされ

ている。 しかし、 現実の問題として酪農ヘルパーは不足しており、 要員の確保に

は各利用組合とも頭を抱えているのが現状である。 



 酪農ヘルパー事業運営協議会 (事務局:JA北海道中央会) では、 毎年東京・大

阪で開く就農セミナーに参加して酪農ヘルパーを募集しているが、 知名度は今ひ

とつで酪農ヘルパーに対する社会的認識の向上に、 さらに関係者一体となった努

力が望まれている。 



 一方、 酪農ヘルパー利用についての酪農家の意識は確実に高まっており、 利用

日の調整には相当苦労している。 



 酪農ヘルパーの仕事は、 当然ながら夕方と早朝になる。 その業務が 「経済動物」 

と 「なまもの」 を扱うだけに、 ヘルパーには利用者との入念な引継ぎ (抗生物質

使用の有無、 乳房炎罹患牛の存在、 飼料の分量等) と確実な作業 (バルクの温度

チェック、 消毒の徹底、 牛による事故、 作業時間の厳守等) が、 また、 利用する

側においてもそれなりの受け入れ準備が必要とされる。 器具の整備・整理整頓は

もちろんのこと、 消毒薬やペーパータオル等の準備、 利用組合ごとに定められて

いる作業の範囲外のことをさせないこと等、 酪農ヘルパーの働きやすい環境を整

えることである。 さらに、 酪農ヘルパー専門技術員としての身分保障と、 将来に

向けての生活保障も重要である。 



 酪農ヘルパー事業本来の目的である、 酪農家の生活にゆとりと安らぎをもたら

すためには、 酪農家とヘルパー双方の理解が、 今後この事業を充実発展させてい

くカギとみられている。




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