◎地域便り


岩手県畜産試験場種山肉用牛改良センターの新設

岩手県/谷地 仁

 ガット・ウルグァイ・ラウンド農業合意に基づく新たな国境措置の実施により、 

国内はもとより海外をも含めた産地間競争が一層激化している。 



 このような状況の中で、 岩手県の畜産の要である黒毛和種については、 産肉能

力の高い優良な種雄牛を造成し、 高品質、 低コスト生産を推進することが重要な

課題である。 



 岩手県は昭和62年から、 自県産優良種雄牛の選抜造成に取り組み、 すでに7頭

の種雄牛が選抜され、 暫定的に県畜産試験場に繋養し、 供用をしてきた。 平成8

年4月、 岩手県種山牧野 (たねやまぼくや) 事務所内に新たに肉用牛改良センタ

ーを設置し、 産肉能力検定の充実、 和牛改良手法の研究を一体的に行う体制を整

備し、 また選抜した県産種雄牛の繋養と人工授精用精液の生産、 供給を開始した。 



 主な業務内容として



 (1) 黒毛和種の産肉能力検定 (直接検定、 間接検定) 



 (2) 個体別生産情報 (育種価) と、 超音波による生体での客観的な肉質判定を

      組み合わせた育種改良システムの確立



 (3) 分割胚移植の双子生産による黒毛和種優良種雄牛の作出



 (4) 精液の希釈液等を中心とした凍結処理方法の検討



 (5) 放牧技術体系の確立による実証展示



等がある。 



 優良種雄牛の造成は、 岩手県産黒毛和種の一層の能力向上と、 畜産経営の安定

につながるものと確信され、 肉用牛改良センターには大きな期待が寄せられてい

る。 




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