◎地域便り


炭化処理で家畜ふんを再資源化 

群馬県/福光 健二

 外国からの食糧や飼料等の輸入は今後も増加すると考えられ、 国際間の物質収

支のアンバランスが問題となっている。 日本国内では排泄物の農用地還元を必要

以上に行えば、 やがては富栄養化の限界を越えるだろう。 これとは対照的に肥料

や有機物の施用が少ない輸出国では土壌の荒廃や資源の枯渇が憂慮される。 この

問題を解決するための一方法として、 国内では排泄物を可能な限り活用すること

はもちろんであるが、 将来に向けて畜産有機物を輸出国に戻すことも考えなけれ

ばならないであろう。 しかし、 家畜のふんは非衛生的で、 水分が多く、 変質しや

すいなど大変取り扱いにくいことが流通の問題点になっている。 



 ふんの炭化処理はこれらの欠点を克服し、 物質収支を正常化させる手段として

有効であろう。 さらに燃料として使用すれば森林破壊の歯止めにも役立つと考え

られる。 また農産物輸出国ばかりでなく、 肥料購買力の低い国や燃料資源の乏し

い国などでの有効活用も期待できる。 国内においても燃料、 土壌改良材、 消臭剤

など、 広範な活用の道を開くことにもつながり、 家畜ふんの再資源としての価値

を大きく高める手段となりうる。 



 そのため昨年度から群馬県畜産試験場では家畜ふんの炭化処理の検討を開始し

た。 実験室レベルでは家畜ふんが炭になり、 できた炭が本当に炭としての性質を

もつことが確認された。 今年度からは実用段階での炭化処理を始めた。 様々な条

件の家畜ふんについて、 ふんの性状と炭のでき具合、 できた炭の発熱量や表面積

などの物理的性質、 成分含量などの化学的性質、 肥料や土壌改良や消臭などの有

効活用の方法などについての調査を行っている。




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