◎地域便り


耕種農家との連携プレーで成長する酪農経営

愛知県/森下 忠

 大規模化の進んだ愛知県半田市の酪農家のほとんどは、 規模拡大に合わせてふ

ん尿処理施設や組織を充実させ、 耕種農家や肥料業者へたい肥を販売してきた。 



 半田市のある知多半島は、 丘陵地が多く、 斜面を利用した畑や樹園地が多い。 

そのため、 潜在的なたい肥需要はあるが、 散布に手間がかかり、 たい肥を利用す

る耕種農家は少ない。 



 そこで、 半田市酪農組合では平成6年から市内で余剰となったたい肥を隣の常

滑市へ供給する事業を行っている。 これは、 酪農家の中から、 たい肥を散布する

オペレーターを募集し、 酪農家自らがたい肥を運搬・散布し、 耕種農家が栽培を

行う連携プレーである。 酪農家としては、 新規のたい肥需要者が開拓でき、 耕種

農家としては、 たい肥を入れたくても手がなかったことが解消でき、 お互いに補

完し、 互いのメリットを活かした事業が展開できている。 



 この事業で栽培されたキャベツが平成7年度は安値であったため、 酪農組合で

一部買い上げるなど、 耕種農家の手助けも行い、 互いの信頼関係を密にしている。



 また、 先日は酪農組合主催で、 各組合員がたい肥を散布しているほ場の巡回視

察を行った。 散布が行われるほ場を直接見て、 良質たい肥を供給するよう決意を

新たにした様子であった。 このように、 酪農家は、 たい肥を使う先の環境にも気

を使い、 耕種農家や地域住民との調和を図り、 今後も規模拡大を図れるような体

制を整えていく努力を行っている。




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