◎地域便り


三代で築いた開拓酪農 ゆとりをもって生活をエンジョイ

鳥取県/加川 清三郎

 中国一の秀峰大山 (だいせん) の山麓に、 戦後入植、 原野と密林を切り開き、 

風雪と闘いながら酪農中心の村づくりに成功した香取開拓農協 (農家数46戸、 乳

牛約900頭) がある。 



 昔から 「開拓は三代」 といわれる。 ここで紹介する田中家は、 初代の義弘さん

夫妻が昭和22年に入植、 31年から酪農を開始した。 



 二代めの千晶 (長女) さんが県立農業大学校を卒業後、 子供の頃から大好きな

酪農を継ぎ、 大自然と素敵な伴侶を求めてUターンしてきた今の夫喬 (たかし)さ

んと結婚、 以後乳牛の増頭と飼育管理の向上、 大型トラクターと作業用機械の導

入等経営内容の充実に努めてきた。 



 昭和60年から産乳成績の向上と飼料コストの低減のため、 コンプリートフィー

ダーを導入。 原料の一つに豆腐粕を利用、 また、 労働力軽減のため自給粗飼料は

ロールベールサイレージだけにしている。 



 乳牛の改良にも力を入れ、 現在飼料作物作付面積14.6ha、 経産牛31頭、 育成牛

14頭を飼育している。 応接間には共進会等で獲得した数多くの入賞カップが並ん

でいる。 



 今では2、3年前に農業大学校を卒業した三代め陽子さんも、 トラクターに乗

って作業するなど立派な自覚ある後継者として頑張っている。 



 田中家は地域活動にも熱心で、 喬さんは以前は香取開拓農協の副組合長や香取

分校のスポーツ少年団の剣道の指導等をやっていた。 現在は酪農に専念している。 

余暇を利用して雄大な大山 (だいせん) の中での渓流釣りと山菜採りが趣味。 千

晶さんはカラオケが好きで、 時にはボランティアで老人ホームを訪れる。 陽子さ

んは現在、 県農村青年会議連絡協議会副会長を務め、 ドライブ、 海釣りが好きだ

そうだ。 



 堅実に酪農経営をやっている田中一家は、 仕事だけでなく、 それぞれが生活を

エンジョイしている。 ゆとりあるライフスタイルに大きな声援を送りたい。



【田中さん一家。右から二代めの千晶さん、喬さん、三代めの陽子さん】




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