◎地域便り


焼酎粕給与で低コスト経営を実現

鹿児島県/中原 俊一

 鹿児島県曽於 (そお) 郡大崎町で肉用牛繁殖経営を営む藤岡数雄 (46歳) さん

は、 地域の未利用資源である焼酎粕の給与システムを考案し、 低コスト肉用牛経

営を実現している。 



 現在50頭の繁殖雌牛を飼養する藤岡さんは、 大工仕事や機械整備等が得意であ

り、 これまでに低コスト牛舎や連動スタンチョン等を自力施工により設置してい

る。 焼酎粕の給与システムは、 他の農家から譲り受けたバキュームカーを修理し

て活用しているところに特徴がある。 



 藤岡さんが焼酎粕を利用するようになったのは、 平成5年の長雨による飼料作

物の不作がきっかけとなっている。 当時、 7haの飼料作物の作付面積であったが、 

収量不足により粗飼料の購入を余儀なくされ、 平成6年の飼料費がかさんだこと

から、 自給飼料の大切さを再認識するとともに、 このような事態に備えて焼酎粕

を利用することとした。 利用を開始した当初は不安もあったが、 近隣の農家の利

用状況を参考にしながら利用技術を習得し自信を深めてきた。 



 焼酎粕の利用システムは、 1週間に1回、 焼酎工場から無料で譲ってもらう焼

酎粕をバキュームカーに貯留し、 バキュームカーのポンプにより牛舎の飼槽まで

施してある配管を通じて給与される。 水分が多く扱いにくい焼酎粕がこのシステ

ムにより簡単に扱えるようになっている。 現在、 藤岡さんは、 1日1頭当たりの

給与量の目安を5kgとし、 雌牛の状態を確認しながら給与を行っているが、 焼酎

粕給与とともに雌牛の受胎率が向上しているそうである。



【飼槽への配管】



【焼酎粕を貯留するバキュームカー】




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