● 4月の生産量
前年同月をわずかに下回る
4月の国内生産は、 と畜頭数が143万3千頭 (▲0.6%) と減少し、 生産量も、
と畜頭数の減少を受けて、 7万5千48トン (▲1.0%、 図1) となった。
と畜頭数は、 6年6月以降前年同月を下回って推移している。 4月は、 相場が
堅調に推移したこともあって、 一部の生産者が早期出荷をしたと見られ、 と畜頭
数はわずかに前年を下回るにとどまった。
平均枝肉重量 (全国平均) は、 74.8kg (▲0.4%、 図2) と、 4カ月連続して
前年同月を下回った。
また、 農林水産省畜産局食肉鶏卵課では、 5月の出荷を141万頭台と予測して
いる。
● 4月の輸入量
過去最高を更新
4月の輸入量は、 13万2千811トン (172.6%、 図3) となった。 内訳は、 冷蔵
品が1万9千240トン (34.0%)、 冷凍品は11万3千572トン (230.6%) である。
4月に基準輸入価格が引き下げられたことから、 輸入量は増加し、 過去最高を
更新した。 特に、 加工向けの需要が高い冷凍品は、 今後のSGの発動をにらんだ在
庫手当ての動きから、 通常の季節的な需要量をはるかに超えた輸入量となった
(図4)。
国別では、 従来から冷蔵品の輸入割合が高い米国が、 特に冷凍品を大きく伸ば
した結果、 2万6千847トン (214.5%、 図5) となった。
台湾も、 冷蔵品を中心に輸入量を伸ばし、 4万2千153トンとなった (81.1%)。
この他、 デンマーク、 カナダも冷凍品を中心に大幅に輸入量を伸ばした。
なお、 4月のSG算定ベース輸入量は、 13万3千94トンとなった。
● 4月の推定出回り量
前年同月をやや上回る
4月の推定出回り量は、 12万4千624トン (4.1%、 図6) となった。 内訳は、
国産品が7万3千822トン (▲1.2%)、 輸入品が5万802トン (13.0%) である。
国産品は、 これまで生産量の減少から、 前年同月を下回って推移してきたが、
4月は一時的と見られる生産量の回復から、 わずかに下回るにとどまった。
一方、 輸入品は、 輸入量の急増から、 前年同月をかなり大きく上回った。 しか
し、 メーカー等が保有する流通在庫等、 見かけの出回りもかなり含まれていると
見られる。
● 4月の期末在庫量
輸入品は14万トン台に積増し
4月の推定期末在庫量は、 15万2千413トン (68.1%、 図7) となった。 内訳
は、 国産品が、 1万1千856トン (▲36.8%)、 輸入品は、 14万557トン (95.5%)
である。
国産品は、 これまでの生産量の減少を受けて、 引き続き前年同月を大幅に下回
った。 7年10月をピークに在庫の取り崩しが進んできた輸入品は、 SGの発動をに
らんだ在庫の積増しから、 前年同月の2倍に近い水準となった。
なお、 3月末に約4万2千トンまで積み上げられた未通関在庫は、 4月に通関
され、 約1万7千トンまで減少した (図8)。
● 4月の国産枝肉価格
前年同月を大幅に上回る
4月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 556円/kg (17.1%) となった (図9)。
生産量が前年同月をわずかに下回っていることに加え、 冷蔵品の輸入量が増加し
たものの、 末端での流通量が十分ではないと見られ、 相場は堅調となった。
5月の卸売価格 (速報値) は、 516円 (11.4%) となった。 生産量が4月の早
期出荷の影響等から前年同月を下回ったと見られ、 また、 スソ物を中心とした中
元用加工品の原料手当ても活発になり、 相場は底固く推移した。
4月の国産豚肉の仲間相場は、 枝肉相場の高値を反映して、 すべての部位が前
年同月を大幅に上回った。 特に、 加工品としての需要が高い 「うで」、 「もも」、
が、 冷蔵、 冷凍いずれも前年同月を大幅に上回った (23.1%〜29.4%、 図10)。
また、 「ヒレ」 も、 業務用向けの手当てが活発になったと見られ、 冷蔵、 冷凍と
もに前年同月を大幅に上回った (それぞれ16.4%、 20.5%)。
● 4月の輸入豚肉仲間相場
総じて前年同月を上回る
4月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 輸入量の大幅増から、 前月よりも値を下
げているものの、 引き続き、 全ての部位で前年同月を上回っている。 テーブルミ
ート需要が強い米国産 「ロース」 は、 813円/kg (15.2%、 図11) と前月より27
円値を下げ、 台湾産も828円 (5.1%)と前月より38円値を下げた。 この他、 高値
が続いていた台湾産もも肉も、 604円 (12.5%)と86円値を下げた。 また、 ヒレ肉
も前月より値を下げたが、 米国産、 台湾産いずれも、 前年を大幅に上回った (そ
れぞれ、26.4%、 20.7%)。
冷凍品も、 輸入量の大きな増加から、 冷蔵品同様、 一時の堅調感はなくなった
ものの、 総じて前年同月を上回った。 特にヒレは、 他の部位に比べて、 解凍後の
品質に大きな劣化がないこともあり、 業務用向け等の引き合いが強いとみられ、
前年同月を大幅に上回った (32.8%〜44.7%)。 加工向けが中心となる台湾産の
「うで」、 「もも」 は、 3月より値を下げたものの、 依然前年同月を大幅に上回っ
ている (それぞれ18.6%、 22.3%、 図12)。
前年を大きく下回る豚肉特売実施率
農林水産省食品流通局 「主要食料品の小売価格等の見通し」 によると、 4月、
5月の豚肉の特売実施率が、 例年の水準を下回っている。 特に4月は、 6年、 7
年の上昇傾向と反して、 低下した。
特売実施率が低下した原因としては、
(1) 4月に枝肉相場が高騰し、 予め特売用に設定した価格帯の部分肉手当てが
困難になったこと、
(2) 3月末から話題になった英国での 「狂牛病」 報道が、 牛肉ばかりでなく輸
入食肉の敬遠等から、 豚肉消費にも波及することを恐れ、 国産品の銘柄豚な
どで品揃えを図ったこと、
(3) 冷蔵品の輸入量は大幅に増加したものの、 末端までの流通が十分でなかっ
たこと、
等と見られる。
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