◎地域便り


牛のおちちはあったかいネ

群馬県/大部 吉郎

 「日本のまん中 へその街」 である群馬県渋川市は、 伊香保温泉の玄関口であ

る。 その渋川市街のはずれ、 伊香保温泉の手前にあるのが 「伊香保グリーン牧場」 

である。 開設25年になるこの牧場は約40haで80頭余りの搾乳牛を飼育している。 

場内には生乳の生産から牛乳・乳製品の製造販売まで一連の体制が整っている。 

また、 乳牛の改良にも熱心に取り組んでおり、 県乳牛共進会では上位にランクさ

れている。 



 この牧場での定番のイベント 「牛の乳しぼり教室」 は冬季の1・2月を除いて

毎日行われている。 連日大勢の子供が参加し、 今では触ることはおろか、 見るこ

ともまれになった牛とのスキンシップを楽しんでいる。 中にはあまりにも大きい

牛を前に尻込みをしたり、 母親にせかされていやいや手をだす子供もいる。 しか

し、 自分で乳しぼりをした後は上気した顔で、もう一回やってみたいという子供

が多いのである。 この体験は、 普段は冷蔵庫に入っている冷たい牛乳しか知らな

い彼らにちょっとした変化を与えるようだ。 参加人数が多いので一人数回しか搾

ることができないが、 牛のお乳の感触を手のひらに残して帰っていく。 



 また、 当牧場では、 乗馬やアーチェリーなどの野外スポーツも楽しめ、 春から

秋にかけての週末にはウエスタンショーなども開催されている。 来場者の希望に

より牧場スタッフが場内を案内しながら、 牛の飼養管理状況や乳製品製造等につ

いて説明する牧場内ガイドサービスも行っている。 



 広い場内で一日中遊び、 一回り大きくなって帰っていく子供達の会話の中に、 

「牛さんのおちちはあったかいネ」 という言葉がよく聞かれる。 実際に牛を見て

手で触って 「人間も牛も同じ動物なんだ」 と彼らが感じてくれることが私たちに

とって一番の幸せである。 



 お問い合わせ先 伊香保グリーン牧場

                 0279−24−5335 (代)



【恐る恐る手を伸ばして】




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