◎地域便り


低コストで新しい飼養方式に挑む

鳥取県/遠藤 寿英 (としひで)

 「省力化と規模拡大を図り、 かつ設備投資を最低限に抑えることはできないか」 

と鳥取県中部の赤碕町、 「建武の中興」 で有名な後醍醐天皇ゆかりの船上山のふ

もとで酪農を営む小椋雅晴 (まさはる) さん (52才) はこう考えた。 



 現在、 県下の中規模クラス (20〜40頭) の飼養形態は、 つなぎ飼い・パイプラ

イン方式が殆どである。 この方式で多頭化を図れば労働過重が最大のネックとな

る。 



 そこで最近では、 省力化・規模拡大の手段としてフリーストール又はフリーバ

ーン・ミルキングパーラー方式に関心が高まってきた。 しかし、 問題は莫大な投

資が必要なことである。 



 小椋さんは農業改良資金 (畜産振興資金) を活用して既存のつなぎ牛舎を改造、 

フリーバーン・ミルキングパーラー方式を取り入れた。 



 投資が少なくてすみ、 しかもふん尿処理の省力化を図った。 飼料給与もTMR 

(完全配合飼料) に切り替え、 省力化を実現している。 



 費用を抑えるため畜舎の改造に当たっては、 多くの畜産仲間の援助を受け、 小

椋さん自身が作業の陣頭に立った。 



 改造前の30頭から現在では、 経産牛42頭、 未経産牛16頭に増頭しているが、 か

なりの省力化を達成している。 また、 投資についても改良資金借入れは1,100万

円とかなり低額に抑えることができた。 



 「これで終わりではない。 今後も、 自分の能力の範囲内で規模拡大を続けてい

きたい。 」 と小椋さんは笑顔の中にも強い信念で語っていた。



【低コストで規模拡大に挑む小椋さん】




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