◎地域便り


共同飼料混合施設利用で上物率向上を目指して

愛媛県/市成 篤

 愛媛県西南部の東宇和郡野村町は、 「ミルクとシルクの町」 と呼ばれる畜産の

盛んな地域である。 



 同町では、 農業の基幹部門となっている畜産の生き残りをかけ、 21世紀におい

ても国際化に対応できる畜産の拠点となるべく、 畜産活性化総合対策事業及び愛

媛県アグリトピア構想推進事業により平成5年度から2年がかりで 「野村町畜産

総合振興センター」 を建設した。 



 同センター内には、 平成6年3月に完成した飼料混合施設が併設されており、 

肥育牛農家 (11戸) と一部酪農家 (8戸) が配合飼料の供給を受けている。 この

施設は、 野村町飼料混合施設利用組合により運営がなされており、 過去の優良経

営農家の飼料分析データに基づいた飼料配合設計により、 効率的な混合飼料の製

造が行われている。 



 これにより、 今まで農家が各々で違った配合を行っていたものが、 季節的には

一部使用する原材料が違うものの、 年間を通して一定の栄養成分による肥育が可

能となり、 高い水準の均質な牛肉の生産が可能となる。 



 愛媛県畜産会では、 同施設の配合飼料を利用している肉用牛飼育農家7戸の経

営診断を行っており、 平成7年12月末で、 共同配合飼料の給与が1年半となるこ

とから、 給与前と後とでの格付上物率 (和牛4クラス以上、 乳用種3クラス以上) 

の推移をみてみた。  (表参照) 



 供給開始前の平成5年と開始後の平成7年を比較すると、 実に和牛では18.4%、 

乳用種では7%の上物率の向上がみられた。 特に、 今まで上物率の低かった農家

ほど著しい向上がみられており、 参加農家は今後の更なる飛躍を目指して張り切

っている。



      飼料混合施設利用農家における上物率の推移

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            H5           H6            H7

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和  牛   118頭(39%)     117頭(57.6%)    256頭(57.4%)

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乳用種   618頭(53.4%)   568頭(53.3%)    570頭(60.4%)

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