◎地域便り


高級地鶏 「鹿児島地鶏」 の完成までカウントダウン開始

鹿児島県/川崎寿代

 鹿児島県の在来鶏 「薩摩鶏」 は、 日本3大地鶏の1つといわれ、 昭和18年に天

然記念物に指定され、 軍鶏 (しゃも) と小国 (しょうこく) 鶏に由来すると考え

られており、 以前は脚に剣を装着し 「闘鶏」 用として利用されてきた。 



 現在では 「闘鶏」 はほとんど行われていないが、 長い間、 闘いに勝つために改

良・訓練され、 肉味に定評があり、 愛玩用の他に採肉用種鶏として利用されてい

る。 



 近年、 消費者の品質や安全性に対する関心が高まり、 全国各地で在来種鶏を利

用した高品質鶏肉生産が増加している。 本県ではこれに先立ち、 昭和44年から 

「薩摩鶏」 を種鶏とした高品質鶏肉を作出し、 全国的に有名な 「さつま若しゃも」 

「薩摩味鶏」 を生産・販売してきている。 平成2年度からは新たに県養鶏試験場

において新しい品種 「鹿児島地鶏 (仮称)」 の開発を行っている。 



 この 「鹿児島地鶏」 は、 薩摩鶏の雄と地鶏タイプの卵肉兼用種ロードアイラン

ドレッドの雌を交雑した鶏を選抜・改良した鶏で、 薩摩鶏の持つ肉質の良さを引

き継ぐ全く新しい品種である。 



 平成10年には新しい品種として完成する予定であり、 平成8年度からは普及に

向け、 飼養マニュアルの作成、 農家での飼育試験、 試食会の開催などを計画して

いる。 



 特徴としては、 羽装は薩摩鶏と同様の茶褐色で、 闘争性はほとんどなく、 性質

はおとなしく飼いやすい。 また、 肉は締まりがあり歯ごたえも良く、 スープにこ

くがあることから、 いろいろな料理に適している。 



 これまでの二元交雑鶏や三元交雑鶏の場合は種鶏を数品種飼育しなければなら

なかったが、 新しい品種は1品種を飼育すれば良いため維持費の低減にもつなが

る。 養鶏農家の期待も大きく、 今後、 幅広く普及する計画である。



【鹿児島養鶏試験場で作出中の「鹿児島地鶏(仮称)」】




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