● 9月の生産量
前年同月をかなり下回る
9月の生産量は、 3万1千324トン (▲8.8%) であった (図1)。
和牛のと畜頭数は、 母牛飼養頭数の減少等から、 昨年11月以降、 前年同月を下
回って推移している (9月▲4.7%、 4〜9月累計▲6.9%)。
また、 乳牛のと畜頭数も、 同様に減少している (9月▲11.1%、 4〜9月累計
▲6.7%)。 生乳生産が増産傾向にあることなどから、 特にめす牛のと畜頭数の減
少率が大きい。
● 9月の輸入量
約2年半ぶりに4万トンを割る
9月の輸入量は、 6年2月以来、 約2年半ぶりに4万トンを割り込み、 3万4
千482トン (▲38.5%、 図2) となった。 8月からのセーフガード発動に伴い冷
凍品が激減し (43.9%)、 冷蔵品もBSEに続き、 O−157報道の影響から輸入牛肉の
売れ行きが極端に不振となり、 輸入の手控え等から大幅に減少した (▲34.3%)。
米国産は、 冷蔵品が前年同月を大幅に下回り (▲25.4%)、 冷凍品もバラを中
心に在庫が十分にあるため、 激減し (▲49.5%、 図3−1) 、 合計では1万6千
569トン (▲39.5%) となった。
豪州産も、 冷蔵品、 冷凍品とも大幅に減少し、 1万6千48トン (▲38.5%、 図
3−2) であった。
事業団調査によると、 10月の輸入量は4万2千トン (冷蔵品2万7千トン、 冷
凍品1万5千トン)、 11月は4万4千トン (冷蔵品2万8千トン、 冷凍品1万6
千トン)、 12月は11月に比べて冷蔵品はやや減少し、 冷凍品は前月並みと見込ま
れる。
● 9月の推定出回り量
輸入品は約2割の減少
9月の推定出回り量は、 国産品、 輸入品ともに減少し、 合計では7万6千921
トン (▲14.3%、 図4) であった。 特に輸入品は▲21.7%と大幅に減少した。
家計購入量 (1人当たり) は、 BSE報道の影響から、 4月以降、 前年同月を1
割程度下回り、 7月にはさらにO−157報道の影響が加わり、 8月も▲18.8%と大
幅な減少となっている (図5)。
● 9月の推定期末在庫量
引き続き高水準
9月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を大きく上回り、 12
万5千331トン (32.0%) であった (図6)。 特に輸入品は、 SG発動前に冷凍品の
在庫が積み上がったことから、 11万1千410トン (35.7%) と引き続き高水準に
ある。
● 9月の国産枝肉卸売価格
人気集中で、 大きく上げる
9月の省令価格 (東京市場) は、 1,239円/kg (22.7%) となった (図7)。 生
産量が減少する中で、 国産品の安心感から、 相場は強含み、 3年12月以来、 4年
9カ月ぶりに1,200円台に乗せた。
これまでも量販店の和牛取り組み強化から好調であった去勢和牛A2・A3は、
国産品への引き合いが集中したため、 さらに値を上げた (A3−1,619円/kg (1.
0%))。 加えて上位等級のA4にも、 買いが入り1,831円 (3.9%) と前年同月を上
回った。 一方、 A5は、 高級品の需要がまだ弱く、 2,310円/kg (▲4.1%) と下
げ傾向が続いている (図8−1)。
交雑種 (F1)、 乳用種去勢牛は、 輸入牛肉に代えて国産牛肉の取り扱いを強化
してきた量販店の需要などに支えられ好調である。 9月も、 和牛同様、 国産品へ
の人気集中から、 それぞれ前年同月を上回った。 特に生産量の減少している乳用
種去勢牛B2は900円台に乗せている。 (F1B3−1,358円/kg (7.7%)、 乳用種B
2−903円/kg (35.8%)、 図8−2)。
● 9月の輸入牛肉仲間相場
品薄から豪州冷蔵品、 急騰
9月の輸入牛肉の仲間相場は、 需要が引き続き弱いものの、 冷蔵品の輸入量が
極端に絞り込まれたため、 品薄から値を上げる品目が多かった。
北米産は、 荷余り観のあるバラ系が冷凍品、 冷蔵品ともに続落。 冷蔵品は、 輸
入量が絞り込まれたことなどから112Aリブアイロールが1,606円 (8.8%) と、 引
き続き前年同月を上回った (図9)。
豪州産は、 極端な品薄から冷蔵品が急騰。 キューブロール (リブロース) は8
月より401円も値を上げ、 1,287円/kg、 グラスフェッド・フルセットは500円台
を回復し、 518円/kg (2.4%) となった。 冷凍品も、 冷蔵品に連られて値を上げ
る品目が多かった。
● 9月の黒毛和種の取引
価格は前年同月並み
9月の黒毛和種の取引頭数は、 5年8月以降の母牛頭数の減少等から、 3万1
千656頭 (▲3.4%) と引き続き前年同月を下回った。 価格は、 36万8千円/頭
(0.1%) と前年同月並みであった (図10)。
● 9月のホルスの取引
頭数減から続伸
9月のホルスタイン種の取引頭数は、 F1の伸びとは対照的に減少が続いてい
る一方、 価格は枝肉価格の好調を反映し、 肥育経営の導入意欲が強いことなどか
ら、 11万3千円/頭 (63.9%) と引き続き大きく前年同月を上回っている (図11)。
ヌレ子は、 前月より2千円値を下げ、 3万9千円/頭 (38.3%) となったが、
引き続き大きく前年同月を上回っている。
● 9月のF1の取引
20万円台を維持
9月の交雑種 (F1) の取引は、 頭数が大幅な増加傾向にあるにもかかわらず、
価格は20万7千円/頭 (16.7%) と引き続き高い水準にある (図12)。 これは、
枝肉価格が底堅く推移し、 肥育経営の導入意欲が強いためと見られる。
一方、 ヌレ子は9万8千円 (▲7.0%) と10万円を割っている。
(注) 数字は農畜産業振興事業団調べ。 取引価格は、 おす・めす平均である。
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