◎地域便り


県民に開かれた畜産試験場をめざして

群馬県/小野 実
 群馬県畜産試験場は国内外の畜産関係者などの視察・研修はもちろんのこと、 
畜産を理解してもらうため、 一般県民の見学を受け入れている。 

 例えば、 前橋市児童文化センターでは、 夏休みになると 「バスに乗って牛の絵
を描きにいこう」 と題して参加者を募り、 3日間で延べ100名の児童がやってく
る。 初めて牛を見る子供が多く、 成牛の大きさや子牛のかわいらしさに感嘆し、 
半日でりっぱな牛の絵を描いて楽しんで帰っていく。 

 また、 高崎市の小学1年生、 前橋市の小学3年生は社会教育の一環として毎年
試験場を訪れ、 「乳しぼりは手でやらないの?」 「うんちが臭いよ」 「子牛に触っ
たら柔らかかった」 など見学の感想を送ってくれる。 「乳牛はなぜ角がないの?」 
「草を食べてどうして牛乳ができるの?」 等、 説明する職員が四苦八苦する場面
もある。 また見学の際には、 群馬県乳販連の協力を得て、 「群馬牛乳」 (パック牛
乳) を生徒たちに配布し、 好評を得ている。 給食で飲む牛乳よりずっとおいしか
った、 また飲みたい等、 本当の牛乳のおいしさを実感してもらっている。 

 昨年は県教育委員会の依頼で 「野外活動指導者研修会」 を開催した。 対象は地
域の社会教育指導者で、 初めて搾乳に挑戦した人が多かった。 全く畜産に関係の
ない人が実際に牛に触ってみてどう感じたかはそれぞれだろうが、 少なくとも家
畜に関心を持ってもらえたことは間違いないと思う。 

 現在、 県域の試験研究機関の果たす役割が問われている。 このように畜産関係
者以外の見学者を受け入れることにより、 少しでも畜産を理解してもらうことが
必要ではないか。 また、 子供たちには、 将来国産畜産物の良さを理解してくれる
良き消費者となってほしいものである。


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