◎地域便り


食品加工副産物を活用した低コスト養豚経営

愛知県/箕浦 正人
 愛知県の中央に位置する、 碧南市並びに安城市では、 都市近郊型の養豚経営が
盛んである。 このうち、 碧南市では養豚農家6戸、 合計母豚1,080頭で大規模な
一貫経営が行われている。 一方、 安城市では14戸で母豚680頭が飼養されている。 

 飼養規模の大きい養豚農家では、 完全配合、 委託配合及び自家配合と様々な飼
料が利用されている。 特に、 この地域の養豚農家は、 都市近郊地域の食品加工場
から産出される副産物を配合飼料に自家配合し、 飼料費の低減に努めている。 

 主に利用されている副産物は、 インスタントラーメン (乾)、 モナカ、 バーム
クーヘン、 パン粉、 うどん (生) などである。 

 こうした副産物を利用する養豚農家では、 すべての種類を利用するのではなく、 
1種類から2種類のものを養豚農家の実情に合わせて有効に活用している。 

 A農家の事例では、 肉豚用配合飼料に副産物を50%強配合し給与している。 菓
子くず、 パン屑 (乾) を飼料に使うと、 全体に栄養価が高くなり過ぎること、 ま
た、 水分含量が安定しないため栄養成分の設計が難しいこと、 集荷や自家配合に
労力がかかることが悩みである。 しかし、 手近にあり、 安価に入手できるため、 
労力をかけながらも飼料として活用している。 

 通常、 肉豚生産費の大半が飼料費であり、 この費用を低減することは所得増大
に大きく結びつく。 特に、 最近は飼料費が高騰している中で、 副産物利用による
低コスト化に努めている。 さらに、 食品業界から産出される副産物の処理を養豚
業が担うことから、 双方にとってコストや環境に与える影響という点でメリット
があり、 リサイクル養豚としても期待される。 

 今後も当地域ではこのような食品加工副産物を活用した養豚経営が継続するも
のと思われる。


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