北海道/森本 正隆
近年、黒毛とのF1を導入する農家が急速に増加している。F1は乳用種に比べ小 さいため、去勢時期を乳用種より遅くしているところが多く、場合によっては4か 月齢での去勢もある。最近は、確実でストレスの小さい観血去勢(陰のうを刃で切 り、睾(こう)丸をひきちぎる方法)が主流だが、月齢の進んだ子牛を去勢する場合、 扱いにくく、蹴られて打撲するケースもある。 そこで、北海道釧路支庁管内標茶(しべちゃ)町の小西さん(ファミリー牧場)は、 ユニークな子牛の保定枠を考案し、去勢に使っている。連動スタンチョンのように 首を保定し、ワイヤーとゴムの組み合わせで、首を挟む棒をうまく開け閉めできる ようになっている。首の保定枠はドア式に開くようになっていて、牛が後戻りせず に枠から出られるため、通路のような狭いところでも使うことができる。牛に蹴ら れるのを防ぐために、開閉式の蹴り止めがついている。小西さんは、この保定枠に 改良を加え、近くの肉牛農家にも広めている。この保定枠を使ってから牛に蹴られ ることもなく、作業も楽になったという。 小西さんは、保定枠だけでなく、牛舎や農機具庫も自分で作る程の腕前を持つ。 動かなくなった機械を集めて修理したり、古い道具を収集するなど、農機具庫はさ ながら博物館のようである。 【去勢用保定枠の見取り図】元のページに戻る