鳥取県/高見 尚文
中国山脈沿いの鳥取県西部の奥山村、日野町久住(くすみ)にある久住(くすみ) 放牧場は、昭和63年秋に国の事業である「公社営畜産基地建設事業」により完成し た。 町が事業主体で農協が管理運営しているが、この放牧場の特色は草地の約半分 がシバであることだ。 シバ草地の特徴は蹄傷(ていしょう)に強く、自然に地下茎で更新が行われ、人為 的な更新作業が不要となり、適正な放牧管理により半永久的な草地として利用可 能なことである。 専門的にみた特徴は他にも多々あるが、なんといってもその景観の美しさは特 筆に値する。グリーンのシバ草地とそこで遊ぶ放牧牛は正に「絵」のようだ。 シバ草地の推進は、鳥取県政の大方針、全県公園化にマッチ、これからの畜産振 興の一つの方法である。 放牧場の面積は20ヘクタール、放牧期間は5月〜11月の6カ月間、1日当たりの 放牧頭数は約30頭。他の放牧場に比べれば規模は小さいが、地域に密着しているの が利点であり、強味である。 放牧場の利用料は1日当たり200円と安く、農家の立場からは経済的にも労力的 にもメリットがあり、安心して規模拡大や他作物の栽培が可能だ。 放牧牛の健康状態をチェックするため、月1回は体重測定や血液検査等を行っ ている。 牛の健康検査や放牧場の下刈りは欠かせない作業である。そのあい間の、にぎや かな焼肉の昼食、そこで花咲く話のあれこれ、これが農家にとっては牛飼いの励み になり、関係機関にとっては農家の気持ちを汲みとる交流の場となっている。元のページに戻る