◎地域便り


校舎廃材や古電柱を活用したフリーストール・ミルキングパーラー牛舎

愛媛県/中谷 哲哉
 愛媛県松山市津吉町で酪農業を営むKさん(51才)は、平成6年度にフリーストー
ル・ミルキングパーラー施設(以下FSMP)を整備し、省力化による規模拡大を実現、
経営の安定と「楽農経営」を目指している。

 Kさんの酪農の歩みは、昭和44年の就農を機に、父親が以前、営んでいた酪農を再
開(岩手より5頭導入)したのが始まりであり、その後、段階的に規模拡大を図って
きた。規模拡大に伴う施設整備では、一貫してコスト削減に取り組んできた。建築
資材に校舎廃材や古電柱を使用し、建築には友達の力を借りて自力で施工したこ
とから、総面積約1500平方メートルの飼養施設(牛舎、たい肥舎、倉庫)の整備に、60
0万円程度の投資額で済んだそうである。

 今回、経営の合理化を目標に、平成6年度畜産産地強化緊急対策事業(県単事業)
により、牛舎改造によるFSMPを導入した。校舎廃材や古電柱を利用した低コスト牛
舎のFSMP化は、県内でも他に例がなく、関係者及び施設の近代化を目指す酪農家か
らも、大いに注目されている。

 経費は、12頭搾り(6連×2列)のパーラーシステム1,400万円及び牛舎改造700
万円とスタンチョンなどの旧施設の撤去等もあり改造費用がかさんだ。総額2,100
万円であったが、県と市の助成により、最終的にはこの1/2の費用の負担ですん
でいる。

 Kさんは、今回の施設整備で45頭から65頭へと規模拡大を図るとともに、フィー
ドミキサーによる混合飼料給与、四国カルスト牧場への夏季放牧及び農協たい肥
センターでの共同処理等、省力・低コスト化を推進し、経営改善に努めている。

 FSMP導入により、省力管理が可能になったことから、今まで苦労をかけた奥さん
に楽をさせたいという「楽農構想」を一歩実現させたところである。


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