宮崎県/宇田津 士郎
宮崎県畜産試験場川南支場は、昭和31年、県央の地に宮崎県種畜場川南分場とし てスタート以来、数度の組織改組を経て昭和59年4月から現名となり、中小家畜関 係の試験研究機関として本県の養豚、養鶏界に幅広く貢献してきた。特に昭和45年 から着手した豚の系統造成の試験では、昭和62年までに3種4系統(ハマユウL、ハ マユウH、ハマユウW1、同W2)を作出し、本県養豚の生産性向上と養豚農家の所得 向上に大きく貢献してきた。 これまでの改良目的は増体が早く、背脂肪が薄く、ロースやももの割合が大きい ことが狙いであったが、最近の消費者ニーズの多様な変化に伴い新たな目標を加 える必要が生じてきた。 このため「しゃぶしゃぶ」用や「加工」向けに適したバラ肉部分の赤肉割合を高め ることにも重点を置いた改良目標の下に、昭和63年から、ニューハマユウLの造成 に着手した。7年の歳月を経て本年完成し、平成8年7月の「社団法人日本種豚登 録協会豚系統造成中央委員会」において認定を受けたところである。 この系統豚の特徴は、赤肉の割合が55%、背脂肪の厚さが1.4センチメートルと 薄くロース断面積を24.7センチメートルと太く改良したところにある。今後は、県 および県経済連系統の原種豚センターへ移管し、維持増殖され県内の養豚農家に 供給される運びとなっている。また、このニューハマユウLと他の系統豚との組合 せ検定試験でも上物率が高く、飼料要求率が低い成績が得られていること等から、 農家の寄せる期待も日増しに大きくなっている。 今回、川南支場における永年にわたる地道な試験研究の成果が認められ、このた び、宮崎県の基幹紙である宮崎日日新聞社から科学賞を受賞することとなった。現 在、次の系統造成に向け本年から「新ハマユウW」の作出に着手しているが、これに 携わる若手職員にも、この受賞が今後の研究の大きな弾みになるものと考える。元のページに戻る