● 7月の生産量
前年同月をわずかに上回る
7月の国内生産は、 と畜頭数が133万頭 (2.6%) とわずかに回復し、 生産量も、
と畜頭数の回復を受けて、 6万9千199トン (2.9%、 図1) となった。
と畜頭数は6年2月以降、 前年同月を下回って推移してきたが、 7月は、 と畜
場の稼働日が前年同月より2日多かったこともあり、 6年の猛暑の影響を受けて
と畜頭数が大きく減少した前年同月をわずかに上回った。
平均枝肉重量 (全国平均) は、 74.3キログラム (0.3%、 図2) と前年同月並
みであったが、 7カ月ぶりにプラスに転じた。
● 7月の輸入量
SG発動で、 冷凍品は激減
7月の輸入量は、 4万760トン (▲30.3%、 図3) と激減した。 内訳は、 冷蔵
品が1万5千592トン (2.9%)、 冷凍品は2万5千168トン (▲41.8%) である。
これまで、 セーフガード (SG) の発動を見越した在庫手当てから、 冷凍品を中
心に輸入量は急増してきた。 しかし、 7月はSGの発動から、 基準輸入価格が約24
%引き上げられ、 加工向けが中心となる冷凍品は急減した (図4)。
一方、 冷蔵品は、 SG発動により高級部位中心の輸入に切り替えられたと見られ、
原産地価格の高値安定もあって、 4月以降の大幅な伸びは衰えた。 しかし、 依然
として前年同月をわずかに上回っている。
国別にみると、 冷蔵品輸入の割合が高い米国は、 冷凍品が前年同月を10.7%下
回ったものの、 冷蔵品は6月と同水準となり、 前年同月を10.8%上回り、 全体で
は、 前年同月をやや上回った (図5)。
一方、 従来から冷凍品の輸入割合が高い台湾は、 冷凍品が前年同月を31.7%下
回り、 冷蔵品も前年同月を9.1%下回ったことから、 全体では、 前年同月を23.9
%下回った。
この他、 冷凍品の輸入は、 デンマーク、 カナダが、 前年同月の約3割程度まで
に減少した。
● 7月の推定出回り量
国産品は前年同月わずかに上回る
7月の推定出回り量は、 12万196トン (▲0.3%、 図6) となった。 内訳は、 国
産品が6万8千785トン (0.5%)、 輸入品が5万1千411トン (▲1.4%) である。
国産品は、 これまで、 生産量の減少を受けて、 前年同月を下回って推移してき
たが、 7月は生産量の一時的と見られる回復もあって、 前年同月をわずかに上回
った。 また、 最近の家計消費 (POS情報) を見ると、 国産品が伸びている (図7)。
一方、 輸入品は、 輸入量が増加した4月以降、 前年同月を大きく上回って推移
してきたが、 7月は輸入量の急減もあって、 前年同月をわずかに下回った。
● 7月の期末在庫量
輸入品は依然高水準
7月の推定期末在庫量は、 27万8千691トン (184.6%、 図8) となった。 内訳
は、 国産品が1万6千824トン (15.1%)、 輸入品は26万1千867トン (214.3%)
である。
国産品は生産量の減少を受けて、 7年5月以降、 前年同月を大幅に下回って推
移してきたが、 7月は、 在庫水準が低かった前年同月をかなり大きく上回った。
一方、 輸入品は、 輸入量の減少から、 SG発動前の6月末に大きく積上げられた
在庫が約1万1千トン取り崩されたものの、 前年同月の約3.1倍と依然高水準に
ある。
● 7月の国産枝肉価格
前年同月をかなり大きく上回る
7月の卸売価格 (東京市場・省令) は、 570円/キログラム (11.1%) となっ
た (図9)。 生産量は前年をわずかに上回ったものの、 1日当たりのと畜頭数が
5万頭台と少ない日が多かった (15日) こと、 国産品の家計消費が好調だったと
みられることから、 前年同月をかなり上回った。
8月の卸売価格 (速報値) は、 562円 (7.3%) となった。 生産量が依然減少基
調にあることに加え、 旧盆前の地方での強い需要に支えられ、 月半ばまでは堅調
に推移した。 しかし、 その後は、 もも等を中心に荷動きが悪くなり、 学校給食向
けの消費がなくなったこと等から、 相場は軟調ぎみとなった。 月平均では7月よ
り8円値を下げたが、 前年同月をかなり上回った。
7月の国産豚肉の仲間相場は、 すべての部位が前年同月を上回った。 特に冷蔵
品は、 枝肉相場を反映して全品目が値を上げた。
冷凍品も国産品の絶対量の不足から依然高値が続いている。 「うで」、 「もも」
は、 依然前年同月を大幅に上回った (それぞれ、 19.3%、22.3%、 図10)。 また、
「ロース」、 「ヒレ」 も堅調に値を上げた (それぞれ21.6%、 39.1%)。
● 7月の輸入豚肉仲間相場
好調なロース、 ヒレは依然高値が続く
7月の冷蔵品輸入豚肉の仲間相場は、 輸入量がわずかに増加したものの、 堅調
な国産相場を反映し、 ほとんどの部位が前年同月を大幅に上回った。 テーブルミ
ート需要が強い米国産 「ロース」 は866円/キログラム (23.7%、 図11) と前月
より20円値を上げた。 また、 「ヒレ」 も米国産、 台湾産いずれも、 前年同月を大
幅に上回った (それぞれ、 23.5%、 28.9%)。
冷凍品も、 在庫が高水準にあること等から、 一時の堅調感はなくなったが、 台
湾産 「もも」 は537円/キログラム (9.2%、 図12) と前月並みとなった。 また、
好調な 「ヒレ」 は、 依然高値を維持し、 各国産とも前年同月を大幅に上回った
(29.9%〜41.1%)。
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