● 7月の生産量
和めすのと畜減少続く
7月の生産量は、 3万4千329トン(▲0.5%) であった (図1)。 ほぼ前年同月
並みであったのは、 と畜場の稼働日の関係で、 和牛、 乳牛ともに減少傾向に変化
はないと見られる。
和牛のと畜頭数の減少をめす・おす別に見ると、 3月以降、 めすの減少率がお
すのそれを4〜7%ポイント下回っている。 これは、 子牛価格が回復し、 めす牛
の保留が進んでいるためではないかと期待される。
● 7月の輸入量
SG発動前に冷凍品激増
7月の輸入量は、 BSE報道で3月下旬から売れ行きが極端に不振となった冷蔵
品が前年同月比▲11.0%とかなり大きく減少したものの、 8月からのSG発動 (関
税が46.2%から50%に引き上げ) を前に冷凍品が同56.6%増と激増したため、 合
計で7万4千600トン (22.8%) となった (図2)。
米国産は、 冷蔵品が前年同月をかなり下回ったものの、 冷凍品がバラを中心に
同83.0%増と激増し、 合計では3万8千685トン (45.1%) となった。
豪州産も、 冷蔵品が前年同月をかなり大きく下回ったものの、 長期契約が多く、
ハンバーグパティ等向けが好調な冷凍品が同32.4%増で、 合計では3万1千715
トン (5.2%) であった。
事業団調査によると、 8月の輸入量は4万2千トン (冷蔵品2万5千トン、 冷
凍品1万7千トン) 9月は4万1千トン (冷蔵品2万4千トン、 冷凍品1万7千
トン)、 10月は9月に比べて冷蔵品はやや増加し、 冷凍品は9月並みと見込まれ
る。
● 7月の推定出回り量
やや増加
7月の推定出回り量は、 国産品が前年同月をわずかに下回ったものの、 輸入品
が輸入量の増加等を受けてかなり増加し、 合計では9万6千854トン (3.9%、 図
4) であった。
家計購入量 (1人当たり) は、 3月下旬からの英国でのBSE報道の影響等を受
け、 4月以降、 前年同月を1割程度下回っており、 6月も▲9.4%と3月連続の
減少となっている (図5)。
● 7月の推定期末在庫量
14万トン台に増加
7月の推定期末在庫量は、 国産品、 輸入品ともに前年同月を大きく上回り、 14
万837トン (53.7%) であった (図6)。 特に輸入品は、 8月からのSG発動を前に
冷凍品の輸入が増加したことから、 57.6%の大幅増となった。
● 7月の国産枝肉卸売価格
和牛A5を除き前年同月を上回る
7月の省令価格 (東京市場) は、 1,119円/キログラム (19.7%) と6年2月
以来はじめて1,100円台に乗せた (図7)。
和牛去勢A5は、 景気回復の兆しが見られるものの高級品の需要はまだ弱く、2,
241円/キログラム (▲5.6%) と下げ傾向が止まっていない。 一方、 A4は1,757
円/キログラム (2.2%) とほぼ2年ぶりに前年同月をわずかながら上回り、 2、
3クラスの需要増が上位クラスに波及しているのでないかと見られる。 量販店の
取り組み強化等から2、 3クラスは、 引き続き好調であった (A3−1,522円/キ
ログラム (10.9%)) (図8−1)。
輸入牛肉に代えて国産牛肉の取り扱いを強化してきた量販店の需要等に支えら
れ、 交雑種 (F1) 去勢牛、 乳用種去勢牛はともに好調で前年同月を上回った(F
1B3−1,317円/キログラム (20.2%)、 乳用種B2−728円/キログラム (30.7
%)、 図8−2)。
● 7月の輸入牛肉仲間相場
豪州産が月末にかけて値を下げる
7月の輸入牛肉の仲間相場は、 需要は引き続き弱いものの、 輸入量が絞られた
冷蔵品が品薄感から、 総じて値を上げた。
北米産は、 荷余り感のある冷凍品ばら系が続落したものの、 品薄な冷蔵品ロイ
ン系が値を上げ、 112Aリブアイロールが1,689円 (22.9%) となった。
豪州産は、 冷蔵品が総じて続騰、 グラスフェッド・フルセットは6月より18円
値を上げ496円/キログラム (▲0.1%) となった (図9)。 ただし、 月末にかけ
ては、 反落する品目が多かった。
8月に入るとO−157報道による影響から、 ほぼ全品目が値を下げた。
● 7月の黒毛和種の取引
頭数は減少
7月の黒毛和種の取引頭数は、 3万2千56頭 (▲2.1%)、 価格は、 取引頭数の
減少等を受け、 36万7千円/頭 (5.9%) と、 引き続き前年同月を上回っている
(図10)。
今後の取引頭数は、 過去の肉用牛の分べん頭数からみて、 前年同月比で大きく
増加するとはみられない。
● 7月のホルスの取引
頭数減から価格続伸
7月のホルスタイン種の取引頭数は、 交雑種の伸びとは対照的に減少が続いて
いる一方、 価格は肥育経営の導入意欲が強いこともあり、 10万9千円/頭 (87.5
%) と大きく続伸した (図11)。
ヌレ子の価格は、 前月より5千円値を上げ5万3千円/頭 (1.2%) であった。
● 7月のF1の取引
20万円台を維持
7月の交雑種 (F1) の取引は、 頭数が大幅な増加傾向にあるにもかかわらず、
価格は前月同の20万5千円/頭 (29.6%) と引き続き高い水準にある (図12)。
これは、 枝肉価格が前年同月を上回って好調に推移し、 肥育経営の導入意欲が強
いためと見られる。
好調な枝肉価格、 子牛価格を受けて、 ヌレ子は11万7千円 (0.8%) と高い水
準にある。
(注) 数字は畜産振興事業団調べ、 取引価格は、 おす・めす平均である。
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