◎地域便り


銀座に進出、 焼尻(やぎしり)島のラム

北海道/川田 武
 北海道留萌支庁管内羽幌(はぼろ)町焼尻(やぎしり)島の焼尻島めん羊牧場の子
羊肉が、 銀座4丁目のフランス料理店 「レカン」 に登場した。 産地名付き子羊ス
テーキとしてである。 潮風がそよぐ島の牧場で育成されたせいか、 風味や歯ごた
えなど味は世界トップクラスと自信満々。 食通の客の中には足繁く通う者もいる。 

  「レカン」 の料理長十時亨さんによると、 焼尻島の子羊肉 (ラム) はフランス
のブルターニュやノルマンディ地方の羊肉 「ブレサレ」 によく似ているという。 
フランスなどで6年間修業した十時さんは、 諸外国や国内各地の羊肉を試してき
たが、 焼尻島のラムについて、 「背肉はもも肉よりさらに繊細な香りで一段と柔
らかく、 ソースもラムの肉汁を生かせば最高の味」 と絶賛している。 

 焼尻島の牧場で飼育されている羊は、 30年前から滝川畜産試験場などの協力で
優良個体の改良に努めた結果、 現在では体高が75〜110センチと大型化している。 

 同牧場の問題点は、 離島のために羽幌町隣の天塩町にあると畜場まで運び枝肉
にするため、 輸送費も含めてコストがかさむことである。 そのため、 受注販売方
式をとり、 単価は一律キロ1,300円としている。 

 羽幌町役場では、 離島振興策が軌道に乗り、 地元の羊肉が 「銀座進出」 したこ
とは名誉だと評価し、 注文に応じ切れない悩みを持ちながら、 さらなる地域振興
に奮闘している。


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