◎地域便り


乳業再編への取り組み

秋田県/杉江 雅之

 秋田県では、 飲用牛乳消費量が生乳生産量とほぼ等量と見込まれ、 本来全量が
県内工場で飲用牛乳として製造され、 県内消費者に供給されるべきところである。 
しかし、 近年、 産地間競争の激化等により県外産牛乳のシェアーが増加傾向にあ
る。 このため、 県内産生乳の1/3が加工向けとして県外に搬送されており、 こ
の結果、 加工原料乳の発生や輸送費コストの増加等により酪農家の手取り乳価の
減少を招いている。 

 一方、 県内には飲用牛乳製造工場は県北1、 県中央4、 県南11の計16工場があ
るが、 零細規模が多く、 また施設の老朽化や量販店による牛乳の廉売等により厳
しい経営を強いられている。 さらに日付表示制度の改正、 製造物責任制度の導入
等が実施され、 これに対応できる衛生管理体制の強化が求められている。 

 このような状況から、 酪農経営基盤の強化と乳業の合理化を図るため、 指定団
体である秋田県経済連と雄平酪農協を中心として、 県内の酪農協、 農協、 乳業者
及び全酪連が出資して平成7年8月に秋田県農協乳業株式会社を設立、 同年10月
より新工場建設を進めて、 本年7月29日に竣工式を迎えた。 

 1日当たりの処理能力は生乳42トン、 主に牛乳、 加工乳及び乳飲料を製造販売
し、 8月から本格稼働している。 

 これにより、 県南においては11工場が7工場となるが、 本工場は国が今年度か
ら実施した 「乳業再編整備等対策事業」 の第1号として、 全国的な乳業再編のモ
デル施設となる。 

 生処販一体となって、 県内の酪農家が生産した安全でおいしい牛乳を、 県内外
の消費者に供給する基地として発展していくものと期待されている。


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