◎地域便り


試験研究共同利用施設の活用で農家を支援

愛知県/原田 英雄
 愛知県農業総合試験場では、 平成5年12月、 新たに中央研究棟が完成した。 そ
の目玉の一つとして、 試験研究のための共同利用施設が設置され、 分析機器も順
次整備されて充実したものとなっている。  通常、 試験研究施設はややもすると
閉鎖的になりやすいが、 この施設では、 場内各研究部所に関わる共同研究課題の
推進をはじめ、 県内各地の試験場の専門技術員が毎年設定する現地調査研究課題
の対応、 また、 普及現場で生じた高度な技術解決には、 改良普及員が直接出向き、 
化学分析に活用できるよう開放されている。 

 近年、 愛知県における畜産農家の飼養管理技術は、 全国的にみても極めて高く、 
高度な技術が多く求められ、 従来のように畜産農家の庭先で直接指導・支援でき
ることが難しくなってきた。 

 最近の実例では、 乳牛の硝酸塩中毒の危険性を防ぐため、 高速液体クロマトグ
ラフを使用し、 飼料作物中の硝酸塩含量の正確な分析を行っている。 また、 肉牛
では、 良質牛肉を生産するために、 月齢別の血液中ビタミンAの値を計測してい
る。 そのほか都市から出る食品加工副産物を肉豚に利用した場合の飼料中の脂肪
酸組成や脂質、 鶏卵の卵黄中のコレステロール含量、 たい肥の成分などの分析を
行っている。 

 このように従来、 普及現場では、 迅速に対応できなかったことが、 この共同利
用施設の活用によって、 科学的数値に基づいた畜産農家の指導・支援が可能にな
り、 畜産農家への貢献も大きくなってきている。 

 今後とも、 普及現場では、 畜産農家からの高度な技術要請が増加するものと考
えられ、 試験研究と普及組織との連携が一段と重要になるものと思われる。


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