◎地域便り


いつも笑顔で肥育経営

鳥取県/山崎和夫
 鳥取県中部、 畜産の中心地東伯郡赤碕町で、 幾多の試練を糧に、 "常に明るく
前向きに、 くよくよしないで生きていく"がモットーの元気な女性は西田久惠さ
ん (46才)。 

 乳おす160頭のほ育から肥育までの飼養管理を女手一つで頑張って経営してい
る。 肥育成績も県内トップクラスを維持、 優秀な経営者として授与された賞状も
数多い。 

 西田さんは倉吉市生まれ。 県立農業大学校に入学中に知り合った茂美さん (故
人) と21才で結婚し、 肥育経営する赤碕町の畜産農家に嫁いだ。 

 牛の世話をするときも、 視察研修に出かけるときもいつも二人で頑張ってきた。 
しかし、 91年に二人三脚で仕事をしてきた茂美さんが他界。 「それでも一男二女
をどう育てるかだけで頭がいっぱい、 感傷に浸っている余裕はなかった。 葬儀の
翌日には長男と牛の棚卸しをした」 と振り返る。 

 その後、 新しい作業機械の運転などをマスターする一方で、 パソコンによる経
営分析でコスト低減を図り、 輸入牛肉との競合による経営難を最小限に食い止め
た。 

  「何とかやっているのは夫が生前、 私を自立した人間と認め、 仕事をある程度
任せてくれたから。」 

 現在、 子供三人は、 東京で大学生、 社会人として生活しており、 西田さんは、 
義母千ち鶴づ子こさん (70才) に手伝ってもらい、 160頭を飼養している。 

 農業を離れた趣味の世界では、 安木節の準師範として活躍、 全国大会にも4回
出場しておりなかなかの腕前だ。 普段の日も作業の手が空けば牛舎の隣の自宅で
三味線の練習に余念がない。 

  「これからはヘルパーを利用して、 定期的に休日を確保し、 本当に自分の好き
なことができる自由な時間を持ちたい。 できれば海外へもどんどん行ってみたい」 
と笑顔で語る西田さんの夢は大きい。

【女手一つで乳おす160頭を飼養する西田さん】


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